
このニュースをざっくり説明すると…
BELSは、住宅・非住宅建築物の省エネ性能を第三者機関が評価し、評価書と省エネ性能ラベルを交付する制度です。申請では、評価対象や取得目的を整理したうえで、外皮性能や一次エネルギー消費量を計算し、申請書、設計内容説明書、平面図、立面図、矩計図、設備図、機器表、計算書などを提出します。
審査では、図面と計算書の断熱・開口部・設備仕様が一致しているか確認され、不整合があれば修正が必要です。評価書交付後に性能へ影響する変更を行った場合は、変更申請が必要になるため、設計初期からBELS取得を見据えて進めることが重要です。
BELS申請で設計者が注意したいのは、省エネ計算の結果だけを提出すれば評価書が交付されるわけではないという点です。審査では、計算書の入力内容と図面、仕様書、設備機器表などが照合されます。断熱材の厚さ、窓の性能、空調・換気・給湯・照明設備の仕様が図書間で食い違っていれば、計算結果が基準を満たしていても修正を求められます。
2026年8月時点では、2024年4月に始まった新しい省エネ性能表示制度に対応したBELSが運用されています。住宅性能評価・表示協会からは2026年5月15日改正版の「BELS評価業務方法書」が公表されているため、過去の様式を流用せず、申請時点の最新資料を確認することが重要です。
Contents
BELSとは建築物の省エネ性能を第三者が評価する制度
BELSは、住宅や非住宅建築物の省エネ性能について、登録された評価機関が審査し、評価書と省エネ性能ラベルを交付する第三者評価制度です。自己評価によるラベルとは異なり、評価員が設計図書や計算結果を確認するため、販売・賃貸時の説明資料だけでなく、補助事業における性能証明やZEH・ZEH-M・ZEBに関する表示にも利用されます。
BELSが評価するのは、原則として設計上の省エネ性能です。実際の電気代やガス代を評価する制度ではなく、一定の使用条件を設定したうえで、外皮や設備の仕様から算出した一次エネルギー消費量を評価します。そのため、既存建築物であっても、過去の光熱費だけでBELS評価を受けることはできません。
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申請前に評価対象と取得目的を整理する
最初に決めるのは、どの範囲を評価するのかという点です。一戸建て住宅、共同住宅の住棟や住戸、非住宅建築物全体のほか、一定の条件ではフロア、テナント、建物用途、複合建築物の住宅部分や非住宅部分なども評価対象にできます。住宅の任意の一部分だけを切り出して評価することはできないなど、対象範囲には一定のルールがあります。
補助事業に使用する場合は、BELSを取得すること自体ではなく、どの評価単位の評価書が必要なのかを確認します。共同住宅では、住戸の評価書に加えて住棟の評価書が求められる場合もあります。また、ZEH、ZEH-M、ZEBの表示を希望する場合は、外皮性能、一次エネルギー消費量、再生可能エネルギーなど、それぞれの要件を設計段階で整理しなければなりません。
申請直前に目標水準を決めると、設備効率や太陽光発電容量が不足し、設計変更が必要になることがあります。基本設計から実施設計へ移る段階で一度計算し、取得できる性能水準を確認しておくと手戻りを減らせます。
建物用途に応じて評価方法を選択する
住宅では、性能基準、仕様基準、誘導仕様基準のほか、外皮性能と一次エネルギー消費量について異なる方法を組み合わせる評価も認められています。非住宅では、標準入力法・主要室入力法、モデル建物法、評価機関の審査体制によってはBEST省エネ基準対応ツールを使用します。
実際の断熱仕様や設備性能を細かく反映したい場合は、性能基準や標準入力法などによる計算が適しています。仕様基準は計算負担を抑えられる一方、表示できる性能水準や再生可能エネルギーを考慮した表示に制約があります。計算が簡単かどうかだけではなく、補助事業の要件や施主に示したい性能まで考慮して評価方法を選ぶことが重要です。
BELSの評価方法と星の見方
一次エネルギー消費性能は、基準一次エネルギー消費量に対する削減率によって多段階表示されます。非住宅建築物と複合建築物は0から6、住宅は0から4で表示され、削減率が大きいほど上位の評価になります。住宅では30%以上の削減で評価4、非住宅では50%以上の削減で評価6となります。
設計実務では、BEIも重要な指標です。BEIは、設計一次エネルギー消費量を基準一次エネルギー消費量で除した値で、原則として数値が小さいほど省エネ性能が高いことを示します。省エネ基準への適合は、基本的にBEI1.0以下で判断されます。
住宅では、一次エネルギー消費性能とは別に断熱性能も表示されます。断熱性能は、外皮平均熱貫流率であるUA値と、冷房期の平均日射熱取得率であるηAC値に対応する等級のうち、低い方を基準として表示されます。UA値だけが高水準でも、窓からの日射取得が大きければ、期待した断熱性能表示にならない可能性があります。
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BELS申請に必要となる書類
標準的な申請図書は、BELSに係る評価申請書、設計内容説明書、申請添付図書、一次エネルギー消費量計算書・外皮計算書、その他必要資料、評価物件の掲載承諾書です。代理者が申請手続きを行う場合は、評価機関の運用に従って委任状も提出します。電子申請の場合は、提出部数やファイル形式が書面申請と異なることがあります。
| 書類名 | 主な内容・確認事項 | 実務上の注意点 |
|---|---|---|
| BELS評価申請書 | 申請者、代理者、建築物の所在地、用途、規模、評価対象範囲などを記載 | 評価機関が指定する最新版の様式を使用します |
| 委任状 | 設計者や申請代行会社が建築主に代わって申請する場合に提出 | 建築主の押印や署名が必要になる場合があります |
| 設計内容説明書 | 外皮性能、設備仕様、評価方法など、設計内容の概要を整理 | 計算書や図面の内容と一致させる必要があります |
| 案内図・配置図 | 建築地、敷地形状、建物配置、方位などを確認 | 外皮計算では方位が重要になるため、真北または方位を明記します |
| 各階平面図 | 室用途、床面積、開口部、空調範囲、設備配置などを確認 | 計算対象となる室や非空調室の区分を明確にします |
| 面積表・求積図 | 延べ面積、用途別面積、住戸面積、計算対象面積などを確認 | 確認申請図書や省エネ計算書との面積不一致に注意します |
| 立面図 | 窓、ドア、外壁、屋根などの位置や寸法を確認 | 開口部の方位、寸法、数量が計算書と一致している必要があります |
| 断面図・矩計図 | 外壁、屋根、天井、床、基礎などの断熱仕様を確認 | 断熱材の種類、厚さ、施工位置を明記します |
| 仕上表・仕様書 | 外皮、建具、設備、仕上げなどの仕様を確認 | 図面間で製品名や性能値が異ならないようにします |
| 建具表 | 窓やドアの寸法、ガラス仕様、枠種、熱貫流率などを確認 | 窓番号、寸法、性能値を平面図・立面図と整合させます |
| 外皮性能計算書 | 住宅のUA値、ηAC値などを算出した計算書 | 断熱材、開口部、熱橋部分などの入力根拠が必要です |
| 一次エネルギー消費量計算書 | 空調、換気、照明、給湯、昇降機、太陽光発電などを評価 | Webプログラムの計算結果だけでなく、入力根拠資料も準備します |
| 空調設備図・機器表 | 空調方式、能力、消費電力、効率、台数などを確認 | 型番や定格能力が確定していないと、追加資料を求められる場合があります |
| 換気設備図・機器表 | 換気方式、風量、消費電力、制御方法などを確認 | 住宅では24時間換気設備の仕様を明確にします |
| 給湯設備図・機器表 | 給湯器の種類、効率、配管方式、節湯器具などを確認 | 給湯器の型番、効率、追いだき機能の有無などを計算条件と合わせます |
| 照明設備図・器具表 | 照明器具の種類、消費電力、台数、制御方法などを確認 | 主に非住宅建築物で、室用途ごとの照明計画が必要です |
| 太陽光発電設備資料 | パネル容量、設置方位、傾斜角、パワーコンディショナーなどを確認 | ZEH、ZEH-M、ZEB等の表示を希望する場合に重要です |
| 設備機器のカタログ | 計算に使用した能力、効率、消費電力などの根拠を確認 | 該当する型番や性能値が分かるページを提出します |
| 各種計算根拠資料 | 線熱貫流率、日射遮蔽、設備効率、制御方法などの根拠資料 | 一般的な仕様と異なる数値を使用する場合は特に必要です |
| 掲載承諾書 | BELS評価を受けた建築物の情報掲載に関する承諾 | 評価機関の様式や公開範囲を確認します |
| 既存の評価書・認定書 | 住宅性能評価書、型式認定書、性能確認書など | 他制度の評価結果を活用する場合に提出します |
必要書類は、住宅・非住宅の違い、性能基準・仕様基準・モデル建物法などの評価方法、ZEH・ZEB等の表示の有無によって変わります。申請前に評価機関へ図書一覧を確認し、計算書に入力した数値を図面やカタログから追える状態にしておくことが、質疑や差し戻しを減らすポイントです。
評価機関への申請から質疑対応までの流れ
申請先は、住宅性能評価・表示協会に登録されたBELS評価機関です。BELSは着工前、工事中、竣工後のいずれでも申請できます。ただし、補助事業や販売広告に使用する場合は、それぞれの提出期限や広告開始時期から逆算して申請する必要があります。
申請後は、必要書類の有無や記載漏れが確認され、引受承諾後に評価が開始されます。評価員は、建物用途、規模、所在地、評価方法を確認したうえで、設計図書と計算書を照合し、入力諸元、計算過程、計算結果が基準に適合しているかを審査します。疑義や不整合がある場合は、申請者に説明や訂正が求められます。
質疑への回答では、文章だけで説明するのではなく、該当箇所を修正した図面や計算書を提出します。修正前後の内容を明確にし、回答書、修正図、再計算結果の関係を整理すると、再質疑を防ぎやすくなります。
評価書の交付と交付後の変更手続き
審査が完了すると、BELS評価書と省エネ性能ラベルが交付されます。評価書には、建築物の概要、採用した評価方法、BEI、一次エネルギー消費量、外皮性能、削減率、ZEH・ZEB等に関する表示などが記載されます。評価機関によっては、希望に応じてBELSプレートやシールの作成も依頼できます。
評価書の交付後に、断熱材、窓、設備機器、床面積、用途などを変更した場合は注意が必要です。評価結果に影響する変更については、変更評価申請書、変更に関係する図書、直前に交付された評価書などを提出して再評価を受けます。従前の評価書を交付した機関とは異なる評価機関へ申請する場合、新規申請として扱われます。
BELS申請は図面と計算書の整合性が重要
BELS申請は、省エネ計算後に証明書だけを発行してもらう手続きではありません。評価対象と目標水準を決め、適切な評価方法を選択し、図面・仕様書・計算書を整合させたうえで第三者審査を受ける一連の業務です。
特にZEH・ZEH-M・ZEBや補助事業に利用する案件では、評価対象や申請時期を誤ると、評価書が交付されても目的の手続きに使用できない可能性があります。設計初期から申請条件を整理し、確認申請、省エネ適合性判定、住宅性能評価などの図書と整合させて進めることが、差し戻しや設計変更を抑えるポイントです。
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BELS申請には、外皮計算や一次エネルギー消費量計算だけでなく、申請範囲の判断、図面と計算書の整合確認、評価機関への提出、質疑対応、ZEH・ZEH-M・ZEB要件の確認まで幅広い作業が必要です。設計業務と並行して対応すると、設備仕様の確定や図面修正が重なり、本来の設計に十分な時間を確保できなくなることもあります。
エネカルでは、建物用途、延べ面積、構造、希望する評価、申請予定時期などを入力して案件を作成することで、省エネ計算やBELS申請に対応できる専門家へ依頼できます。必要な作業範囲が決まっていない場合や、図面がすべて完成していない段階でも、現在の計画内容をもとに相談可能です。
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