「モデル建物」とは?省エネ計算における役割と選定方法を省エネ判定員が解説

「モデル建物」という言葉はごぞんじですか?現在、非住宅の省エネ性能の評価で主流となっている「モデル建物法」という計算方法において、重要な役割を担っている要素となります。この記事を読むと、以下の内容について知ることができます。

  • モデル建物の意味と役割
  • モデル建物の種類
  • モデル建物により変化する評価対象設備
  • モデル建物の選定方法

重要な要素である「モデル建物」を理解して、非住宅の省エネ計算をストレスなく進めていきましょう。

モデル建物とは

「モデル建物」とは、建築物の用途ごとに、建物形状や室用途などを仮定したモデルとなります。ある程度、形状や室用途が仮定されているため、代表的な室の設備仕様を入力するだけで、建物の省エネ性能(BEI値)を計算することができます。そのため、モデル建物法では比較的容易に非住宅建築物の省エネ性能を評価できます。もう1つの計算方法である「標準入力法」の簡易版となります。

モデル建物の種類

モデル建物の種類は、以下のとおりです。
全部で26種類あり、その内の12種類は集会所モデルとなります。

  • 事務所
  • ビジネスホテル
  • シティホテル
  • 総合病院
  • クリニック
  • 福祉施設
  • 大規模物販
  • 小規模物販
  • 学校
  • 幼稚園
  • 大学
  • 講堂
  • 飲食店
  • 集会所(アスレチック場、体育館、公衆浴場、映画館、図書館、博物館、劇場、カラオケボックス、ボーリング場、ぱちんこ屋、競馬場又は競輪場、寺社の12種類)
  • 工場

計画する非住宅建築物の用途に応じて、当てはまるモデル建物を選定した上で、省エネ計算を実施します。

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モデル建物による評価対象設備

26種類あるモデル建物によって、計算で評価する設備は異なります。代表的なモデル建物と主な評価対象設備を、以下の表に示します。

モデル建物外皮空調換気照明給湯
事務所外気に接する部位

地盤に接する部位は対象外
全て機械室
便所
厨房
駐車場
事務室洗面手洗い
浴室
厨房
クリニック診察室待合室
福祉施設個室診察室ロビー
大規模物販売場
小規模物販
飲食店客席
工場倉庫屋外駐車場
駐輪場

例えば事務所モデルの場合、照明設備の評価対象は事務室の照明器具のみとなります。
事務室に該当しないトイレや更衣室等の照明器具は、モデル建物法において評価対象外となります。また、工場モデルにおける空調設備や給湯設備は、全て評価対象外となります。
全てのモデル建物の評価対象設備は、モデル建物法入力支援ツールマニュアルに掲載されています。最新版(Ver.3.6)の、P.9にまとめられています。


出典:非住宅建築物に関する省エネルギー基準に準拠したプログラム「モデル建物法 入力マニュアル」

【 modelv3_manual_20240401.pdf (lowenergy.jp) 】

モデル建物の選定方法

モデル建物は、基本的には建築物の棟単位の用途で決定されます。確認申請書でいうと、第四面の用途でモデル建物を選定することになります。

  • 確認申請書第三面:用途は敷地の主要用途を示すため、モデル建物の選定には用いない
  • 確認申請書第四面:用途は棟単位の建物用途を示すため、モデル建物の選定に用いる

具体的には、建物の棟別の用途区分コードに応じ、モデル建物を選定することが基本となります。代表的なものを以下の表に示します。

用途区分コード
(確認申請書第四面)
建築基準法施行規則上の用途
(建築物用途)
モデル建物の選択肢
08040寄宿舎モデル建物法の対象外
(住宅用途であるため)
08170老人ホーム、福祉ホームその他これに類するもの福祉施設モデル
08250診療所(患者の収容施設がない)クリニックモデル
08340工場(自動車修理工場を除く)工場モデル
08350自動車修理工場工場モデル
08438日用品の販売を主たる目的とする店舗小規模物販モデル
08470事務所事務所モデル

全ての用途区分コードとモデル建物の選択肢については、モデル建物法入力支援ツールマニュアルに掲載されています。最新版(Ver.3.6)の、P.5にまとめられています。


出典:非住宅建築物に関する省エネルギー基準に準拠したプログラム「モデル建物法 入力マニュアル」

【 modelv3_manual_20240401.pdf (lowenergy.jp) 】

まとめ

今回は、モデル建物法の重要な要素である「モデル建物」について解説しました。

  • 建築物の用途ごとに形状や室用途などを仮定したモデルのこと
  • モデル建物のおかげで省エネ計算は比較的容易になる
  • モデル建物によって評価対象となる設備は異なる
  • 棟単位の建物用途によりモデル建物を選定することが基本

次回は、モデル建物選定のケーススタディについてご紹介します。お楽しみに!

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