住宅の外皮とは?該当する部分や性能について、省エネ判定員が解説

「外皮」という言葉を聞いたことはありますか。

「外皮」とは住宅の省エネ性能を評価するための1つの要素となります。

この記事を読むと、以下の内容について理解することができます。

・「外皮」とは、何なのか

・「外皮」の性能とは、何なのか

・「外皮」の性能を評価するための基準

要点を押さえて、業務に活かしてください。

住宅の「外皮」とは?

住宅の「外皮」とは、熱的境界になる住宅の外周部分を指します。

熱的境界とは、外気と室内の温度環境を区分する境界のことです。

一般的には、以下に記すような部位が、外皮となります。

出典:国土交通省 住宅省エネルギー技術講習テキスト 設計・施工編

【 r2_text_hokkaido.pdf (shoenehou-online.jp) 】※ページ数:034

・屋根
・天井
・外壁
・外気に接する床
・その他の床
・基礎
・土間床
・窓
・ドア

これらの部位の内、どの部位が熱的境界になるかは、

通気計画や断熱材の充填場所により、異なります。

例えば、天井裏に断熱材が充填されている場合は天井が、

屋根の裏に断熱材が充填されている場合は屋根が、熱的境界(=外皮)になります。

これらの熱的境界には、一般的に断熱材が充填されます。

外皮となる部位のそれぞれに、断熱材を充填することで、

室内から外部へ、熱が逃げることを防ぎます。

外壁でも「外皮」にならない場合

以下に該当する部分は、外皮には該当しません。

・熱的境界の外側となっている外物置や車庫を区画する外壁

・外気に通じる床裏・小屋裏・天井裏を区画する外壁

・熱的境界となる外壁から突き出した袖壁やベランダ

一方、熱的境界の外側であっても、浴室や寝室等の部屋を区画する外壁は、外皮に該当します。

熱的境界の外側であることで、外皮から除かれる部分は、車庫や物置、風除室等に限られます。

外皮の性能とは?

外皮の性能とは、断熱性能と日射取得の性能を言います。

断熱性能が高いこと、日射取得の性能が高いこと、

これらはどういったことなのでしょうか。

断熱性能が高いとどうなるか

・室内から屋外に熱が逃げづらくなるため、冷暖房の負担が小さくなる

・負担が小さくなることで電気料金やガス料金の節約につながる

・室内の温度を一定に保ちやすく、快適に過ごすことができる

クーラーボックスの中に入れた氷が、長時間溶けないまま保管できるのと、

同じイメージとなります。

日射取得の性能が高いとどうなるか

・夏季の日射により取得する熱量を減らし、冷房の負担が小さくなる

・冬季の日射により取得する熱量を増やし、暖房の補助とする

夏季は日射取得が小さく、冬季は日射取得が大きい方が、性能が高いと言われています。

これは、夏季と冬季で太陽光の入射角度が異なることを利用して、

庇の突出寸法を調整することで、実現できます。

外皮の性能を評価するのはどんな時?

住宅の外皮性能を評価する制度や手続きは多く存在します。

主要なものを以下のに示します。

・住宅性能評価

・フラット35

・長期優良住宅

・低炭素住宅

・BELS

このように、様々な制度や手続きで、外皮の性能が評価されます。

外皮の性能に関連する基準

外皮の性能には、以下の表に示す評価基準があります。

基準の名称略称概要
外皮平均熱貫流率UA値(ユーエー値)外皮の断熱性能の目安。数値が小さいほど、建物から外に逃げる熱が小さく、冷暖房の負担が少ない。
冷房期平均日射熱取得率ηAC値(イータエーシー値)夏季における日射熱取得の目安。数値が小さいほど、日射熱の取得量が小さく、冷房の負担が少ない。
暖房期平均日射熱取得率ηAH値(イータエーエイチ値)冬季における日射熱取得の目安。数値が大きいほど、日射熱の取得量が多く、暖房を補助することができる。

まとめ

住宅の省エネ性能の評価に用いる「外皮」とは、どのようなものか。

外皮となる部分や性能を評価するための基準について説明しました。

・住宅の「外皮」とは、熱的境界になる住宅の外周部分

・熱的境界の外側にある物置や車庫等の外壁は、外皮には該当しない

・住宅の外皮の性能は、断熱性能と日射取得の性能で評価できる

・外皮の性能は、さまざまな制度や手続きで評価の対象となる

2050年のカーボンニュートラルに向け、国は省エネ性能に関する様々な施策を計画しています。

このような背景のもと、住宅の外皮を評価する機会も増えていっています。

外皮について理解し、外皮性能やエネルギー消費量の評価に活用しましょう。

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