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2022(令和4)年6月に公布された「脱炭素社会の実現に資するための建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律等の一部を改正する法律」(令和4年法律第69号)により、「建築物省エネ法」が改正されました。

2025年4月(予定)から、原則すべての建築物について、省エネ基準への適合が義務付けられます。
併せて、建築基準法の改正により、建築確認・検査対象の見直しや審査省略制度(いわゆる「4号特例」)の縮小が措置され、建築主・設計者の皆様が行う建築確認の申請手続き等も変更されます。
「建築物省エネ法」改正の主な変更点7つ
1.建築主の性能向上努力義務
建築主は、その建築(新築、増築及び改築)をしようとする建築物において、建築物のエネルギー消費性能の一層の向上を図るよう努めなければなりません。この「一層の向上」とは、義務基準である省エネ基準を上回る省エネ性能を確保することを指しています。
2. 建築士の説明努力義務
省エネ性能の一層の向上にむけては、専門家である建築士が情報提供を行うことを通じて、建築主の意識向上を図り省エネ性能の向上にむけての取り組みを促していくことが重要です。
建築士は、建築物の建築等に係る設計を行うとき、その設計を委託した建築主に対し、建築物のエネルギー消費性能や、その他建築物のエネルギー消費性能の向上に資する事項について説明するよう努めなければなりません。
3.省エネ基準適合義務の対象拡大
法改正により、省エネ基準適合義務の対象が下記のように拡大されました。
・新築の場合
法改正により、すべての新築住宅・新築非住宅に省エネ適合義務が課せられることとなりました。また、基準適合義務の拡大するため、今まで届出義務だった対象も適合義務となり、届出義務(第19条)は廃止となりました。
・増改築の場合
法改正により、増改築を行う部分のみ基準適合が求められることになりました。増改築部分の壁・屋根・窓などに一定の断熱材等を施工することや、増築部分に一定性能以上の設備(空調・照明等)を設置することにより、増改築部分が基準に適合することが求められます。
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4.適合性判定の手続き・審査
法改正により、適合義務対象が全ての建築物に拡大されます。そのため、対象件数が大幅に増加し、申請側・審査側双方の負担の増大が見込まれることから、審査の簡素・合理化が求められています。
5.住宅トップランナー制度の拡充
住宅トップランナー制度とは、一年間に一定戸数以上の住宅を供給する事業者に対し、国が、目標年次と省エネ基準を超える水準の基準(トップランナー基準)を定め、新たに供給する住宅について、その基準を平均的に満たすことを努力義務として課す制度です。
法改正により、分譲型住宅のトップランナー制度の対象を、1000戸以上供給する事業者を対象とし、分譲マンションにも拡大することとなりました。
住宅トップランナー基準は、
(1)外皮熱性能について省エネ基準に適合すること、
(2)一次エネルギー消費量を省エネ基準に比べて一定割合
(建売戸建住宅は15%、注文戸建住宅は20%(将来は25%)、賃貸アパートは10%)を削減することとされています。
6.エネルギー消費性能の表示制度
消費者・事業者が、建築物を購入・賃借する際に、その省エネ性能を把握し、性能の高低を比較検討することができるようにすることで、消費者等における建築物の省エネ性能への関心を高め、省エネ性能が高い建築物が選択されやすい市場環境を整備することを目的としています。
「建築物省エネ法に基づく建築物の販売・賃貸時の省エネ性能表示制度」は、販売・賃貸事業者が建築物の省エネ性能を広告等に表示することで、消費者等が建築物を購入・賃借する際に、省エネ性能の把握や比較ができるようにする制度です。
住まいやオフィス等の買い手・借り手の省エネ性能への関心を高めることで、省エネ性能が高い住宅・建築物の供給が促進される市場づくりを目的としています。
2024年4月以降、事業者は新築建築物の販売・賃貸の広告等(新聞・雑誌広告、チラシ、パンフレット、インターネット広告などが対象)において、省エネ性能の表示ラベルを表示することが必要となります。省エネ性能ラベルとエネルギー消費性能の評価書には、①自己評価と②第三者評価の 2 つの発行方法があります。
- ①自己評価は国が指定するWEBプログラム、もしくは仕様基準に沿って、建築物の省エネ性能の評価を行うことを指します。
- ②第三者評価は第三者の評価機関に依頼し、建築物の省エネ性能を評価することを指します。第三者評価機関の評価を受けることで、ラベルや評価書にBELSマーク(※3)を表示できます。
※3
BELS[ベルス]とは Building-Housing Energy-efficiency Labeling System(建築物省エネルギー性能表示制度)の略称
7.建築物再生可能エネルギー利用促進区域
地域によってその利用条件が異なる再生可能エネルギーについて、地域の実情を踏まえた建築物分野における利用拡大を図るため、新たに創設されました。
区市町村が建築物への再生可能エネルギー利用設備の設置の促進に関する計画を定めることにより、促進計画において定めたエリアの中で、太陽光パネルのような、再生可能エネルギーを利用した設備の設置を促す仕組みです。
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