【2026年最新版】省エネ適判の指摘事項。実例から学ぶ不適合事例と対策を解説

このニュースをざっくり説明すると

省エネ適判では、計算結果が省エネ基準に適合していないケースだけでなく、図面と計算書の不一致、断熱材や建具仕様の記載不足、空調・換気・照明・給湯設備の機器情報不足、床面積や室用途の設定間違いなどによっても指摘・補正を受けます。特に2025年4月以降は原則すべての新築住宅・非住宅で省エネ基準適合が義務化され、省エネ関係図書と建築確認図書の整合性は以前にも増して重要になりました。本記事では、2026年時点の制度を踏まえ、省エネ適判で実務上起こりやすい指摘事項を具体例とともに解説します。指摘を減らすための提出前チェック方法や、設計変更時の注意点についても設計事務所・工務店・建設会社様向けにまとめました。

2026年の省エネ適判は「計算が合っていればOK」ではありません

2025年4月1日から、原則としてすべての新築住宅・非住宅について省エネ基準への適合が義務化されました。省エネ基準への適合は建築確認・完了検査とも関係するため、設計段階だけでなく施工段階まで計画内容との整合性を維持することが重要になっています。ただし、省エネ基準への適合義務と「すべての建物で省エネ適判が必要」という意味は同じではなく、省エネ適判の要否は建物用途、規模、評価方法などによって異なります。

省エネ適判で提出する図書について、国土交通省は計画書、設計内容説明書、配置図、平面図、立面図、断面図・矩計図、各種計算書、機器表、設備系統図、制御図などを示しています。つまり判定員が確認するのはWEBプログラムの計算結果だけではありません。計算に使用した仕様が設計図書のどこに記載されているのか、その図面と計算書が一致しているのかまで含めて確認されます。

ここを理解しておくと、省エネ適判でなぜ細かな指摘が入るのかが分かりやすくなります。省エネ計算そのものが正しくても、その入力根拠を提出図書から追えなければ審査側は「適合している」と判断できません。

省エネ適判そのものの制度や手続きから確認したい方は、エネカルの関連ブログ 「省エネ適判と省エネ届出の違いについて」 もあわせてご覧ください。

まず知っておきたい「指摘」と「不適合」の違い

省エネ適判で「指摘された」という話をすると、すぐに「省エネ基準に不適合だった」と考えてしまう方がいます。しかし、審査機関からの指摘がすべて性能上の不適合を意味するわけではありません。

例えば、計算書では断熱材を高性能グラスウールとして入力しているものの、矩計図に断熱材の種類が書かれていない場合があります。この場合、計算上は基準を満たしていたとしても、「入力した仕様の根拠が図面から確認できません」という指摘が入る可能性があります。これは計算結果そのものより、申請図書の不足や整合性に関する問題です。

一方、仕様を正しく入力した結果、必要な省エネ基準を満たさないのであれば、資料を追加するだけでは解決しません。断熱仕様、窓性能、設備性能などを変更し、再計算する必要があります。

実務ではこの二つが混在しています。そのため省エネ適判で指摘を受けたときには、「資料不足なのか」「図面と計算書の不一致なのか」「入力そのものが誤っているのか」「建物の性能そのものが不足しているのか」を切り分けることが重要です。

省エネ適判で指摘されやすい項目を一覧で確認

まず全体像を整理すると、実務上注意したいのは次のような項目です。

指摘されやすい項目よくある状態主な対策
図面と計算書の不一致建具・断熱材などが旧仕様のまま提出直前に最新版同士を照合
床面積・室用途図面と入力面積や用途が違う面積表・平面図・入力値を確認
外皮仕様断熱材厚さ・熱伝導率等が不明矩計図・仕様書へ根拠を記載
建具ガラス種類・サッシ性能が不明建具表と性能資料を揃える
空調設備型番・能力・効率等が一致しない機器表と計算入力を照合
換気設備風量・消費電力等の根拠不足機器表・カタログを整理
照明設備器具数・消費電力・制御が不一致照明図・器具表と照合
給湯設備熱源・効率・配管等の情報不足給湯設備資料を確認
昇降機台数・積載量・速度等の不一致昇降機仕様書と照合
設計変更計算書だけ旧仕様変更時に省エネへの影響を確認

ここから、それぞれを実例形式で詳しく見ていきます。

実例1 図面ではLow-Eガラスなのに計算書では別のガラスになっている

省エネ適判で特に注意したいのが、建具表と省エネ計算の不一致です。

例えば当初設計では一般的な複層ガラスを予定していたものの、設計途中でLow-E複層ガラスへ変更したとします。建具表は最新仕様へ変更された一方、省エネ計算担当者へ変更情報が伝わらず、計算書には旧仕様が残っているというケースです。

反対に、計算では高性能な窓として入力しているものの、建具表には性能が確認できる記載がないケースも問題になります。審査する側から見れば「本当にこの性能の窓を使う計画なのか」が提出図書から確認できません。

同じ問題は断熱材にも起こります。断熱材の種類、厚さ、熱伝導率などが計算書と矩計図・仕様書で一致していなければ、整合確認の指摘につながります。エネカルで掲載している審査実務の記事でも、サッシや断熱材の変更が計算書へ反映されていないことが典型的な差し戻し要因として紹介されています。

このようなケースを防ぐには、「計算書が正しいか」だけを見るのではなく、建具表、矩計図、仕上表、省エネ計算書を横並びで確認することが大切です。

さらに具体的な差し戻し対策については、関連ブログ 「『また差し戻しですか…』を防ぐ審査機関への書類提出の秘訣」 も参考になります。

実例2 床面積や室用途が省エネ計算と平面図で違っている

非住宅の省エネ計算では、建物用途や各室の用途、床面積などが計算結果に関係します。そのため平面図の室名と省エネ計算上の用途設定が一致していないと、審査時に確認される可能性があります。

例えば、平面図では「事務室」と記載されている部屋を、計算上は別用途として入力しているケースです。また、設計変更によって間仕切り位置が変わり部屋の面積が変更されたにもかかわらず、省エネ計算では変更前の面積を使っているケースもあります。

用途や面積は空調、換気、照明などの計算条件にもつながるため、単なる表記ミスでは済まないことがあります。床面積求積図、用途別床面積表、平面図、省エネ計算の入力内容を一緒に確認することが重要です。国土交通省が示す省エネ適判の必要図書でも、各階平面図には室名称・用途・寸法・天井高さなど、用途別床面積表には用途ごとの床面積を明示することが求められています。

非住宅案件について、省エネ計算から確認申請までの全体的な流れを確認したい場合には、関連ブログ 「非住宅建築における省エネ計算の手順と建築確認の流れ」 もあわせて確認してみてください。

実例3 空調機器を変更したのに省エネ計算が旧機種のまま

非住宅案件で特に起こりやすいのが設備変更です。実施設計が進む過程で、空調機器のメーカーや型番、能力が変更されることは珍しくありません。
問題になるのは、設備図や機器表だけ更新され、省エネ計算が更新されていないケースです。

例えば当初計算ではA社の空調機を入力していたものの、コスト調整によってB社製品へ変更したとします。能力や効率が異なれば一次エネルギー消費量も変わる可能性があります。また、機器表に型番は書かれていても、計算に使用した定格能力や消費電力等を確認できる資料がなければ、審査側から根拠資料の提出を求められることがあります。

重要なのは「同じ容量だから大丈夫」と判断しないことです。省エネ計算では機器性能の具体的な数値を使用する場合があるため、型番変更時には必ず計算への影響を確認してください。

実例4 換気設備の風量・消費電力・台数が一致していない

換気設備も指摘につながりやすい部分です。設備図では換気扇が10台記載されているのに、計算では8台しか入力されていない、設計変更で機器が変わったのに旧機種の消費電力を使用している、といったケースがあります。

また、厨房、トイレ、機械室など、用途によって換気設備の考え方も変わります。複合用途建築物では入力対象の整理がさらに複雑になるため、平面図、換気設備図、機器表、省エネ計算書の整合確認が重要になります。

省エネ適判の審査では「なぜこの数値を入力したのか」を提出資料から追える状態が理想です。機器表に必要情報がなければ、メーカーの仕様書やカタログを準備しておいた方が質疑を減らしやすくなります。

実例5 照明器具の数量や消費電力が照明図と合っていない

照明設備も設計変更が頻繁に起こる項目です。意匠変更やテナント要望によって照明器具の種類・台数が変更されたものの、省エネ計算へ反映されていないというケースがあります。

例えば照明図ではLED器具100台になっているのに、計算では90台のままになっている場合です。また、調光制御や人感センサーなどの制御について省エネ計算上考慮している場合には、その制御が設計図書から確認できなければ指摘につながる可能性があります。

計算上有利になる制御を入力しているのであれば、図面にもその根拠が必要です。省エネ適判では「実際の建物に存在する仕様を計算していること」を示せる状態にしておくことが重要です。

実例6 給湯設備・昇降機の仕様が決まっていないまま申請してしまう

ホテル、病院、飲食店、福祉施設などでは給湯設備が省エネ性能に大きく関係します。ところが、建築確認や省エネ適判を急ぐあまり、給湯器の型番や能力が未確定の状態で計算を進め、後から機器が変更されることがあります。

昇降機についても同様です。国土交通省が示す省エネ適判図書では、昇降機について種類、台数、積載量、定格速度、速度制御方法などを明示することが示されています。

設備仕様が確定していない段階で申請する場合には、仮定した仕様と実施設計を必ず後から照合してください。「申請時には仮仕様だった」という事実だけでは、完成建物との不整合は解消されません。

実例7 メーカー資料や性能根拠が添付されていない

省エネ計算担当者にとっては性能が分かっていても、審査担当者は提出された資料から確認するしかありません。例えば断熱材の商品名だけが書かれているものの、熱伝導率を確認できる資料がない、窓の仕様は記載されているものの熱貫流率の根拠がない、空調機器の型番はあるものの計算入力に使った能力や効率を確認できない、といった状態です。

この場合、計算値自体が正しくても追加資料を求められることがあります。
実務では「性能を知っていること」と「その性能を審査資料で証明できること」は別です。カタログ、仕様書、認定書、性能証明資料など、計算に使った数値の出典を整理しておきましょう。

住宅の外皮計算や省エネ計算で実際に起きやすい申請トラブルについては、関連ブログ 「設計士、建築家注目!外皮計算・省エネ計算に関する窓口申請のよくあるトラブルまとめ(住宅編)」 でも詳しく紹介しています。

実例8 設計変更をしたのに省エネ計画を変更していない

省エネ適判で最初の審査を通過しても、その後の設計変更には注意が必要です。空調機、照明、窓、断熱材などは、コスト調整や施工段階で変更されることがあります。その変更内容によっては、省エネ計画について軽微な変更手続きや再度の省エネ適判が必要になります。

国土交通省は省エネ計画の変更について、軽微な変更をルートA・B・Cに分類しています。省エネ性能を向上させる、または影響しない変更などはルートA、一定範囲内で性能が低下する変更はルートB、再計算して基準適合を確認する変更はルートCとなります。一方、用途変更や計算方法そのものの変更などでは、省エネ適判を改めて行う必要がある場合があります。

特に注意したいのが完了検査です。現在は省エネ基準適合も完了検査の対象となるため、実際に施工された内容と省エネ計画が一致している必要があります。申請時の空調機器と現場で納入した機器が異なる場合、「性能が同じだからそのままでよい」と自己判断せず、変更手続きが必要か事前に確認してください。

審査機関によって質問の仕方が違うこともあります

設計者から「前の審査機関では何も言われなかったのに、今回は指摘された」という話を聞くことがあります。
法令や省エネ基準そのものが審査機関ごとに変わるわけではありません。しかし、資料の不足部分に対してどこまで補足説明を求めるか、どのように質疑を出すかなど、実務上の確認方法に違いを感じることはあります。

だからこそ、「前回通ったから今回も大丈夫」という考え方はおすすめできません。どの審査担当者が見ても入力根拠を追える資料を作る方が確実です。

この点については、エネカルの関連ブログ 「審査機関の担当者によって解釈が違うの?」 でも詳しく扱っています。申請先を変えた際に指摘内容が変わった経験がある設計者には、あわせて読んでいただきたい内容です。

本当の「不適合」は資料追加だけでは解決しません

ここまで紹介した事例の多くは、図面修正、計算書修正、追加資料提出などによって解決できるものです。しかし、実際に建物の省エネ性能そのものが基準を満たしていなければ、話は別です。

例えば正しい設計条件を入力した結果、一次エネルギー消費性能が必要な基準に達していない場合には、空調や照明、給湯設備などの効率を見直す必要があります。住宅であれば、外皮性能が基準に届いていなければ断熱材や開口部仕様等の見直しが必要になります。

この状態では、申請書類の記載を直しても解決しません。建物仕様を変更し、再計算したうえで基準適合を確認する必要があります。

特に設計がかなり進んでからこの問題が分かると、設備選定や建築仕様へ大きな手戻りが発生することがあります。省エネ計算は「確認申請直前にやればよい作業」ではなく、可能であれば実施設計の途中から結果を確認しておく方が安全です。

ZEBを同時に目指す非住宅案件では、法令上の最低基準に適合するだけでなく、さらに高い省エネ性能を目標とするため、より早い段階からBEIを確認することが重要です。ZEBの基準や種類については、関連ブログ 「【保存版】これだけ見れば大丈夫!ZEBまとめ」 も参考にしてください。

指摘を減らすなら「計算完了後」ではなく「提出直前」にもう一度確認する

省エネ計算が完成した時点では図面との整合が取れていても、その後に図面が変更される可能性があります。そのためチェックするタイミングは「計算が終わったとき」だけでは足りません。

一番重要なのは提出直前です。
その時点の最新平面図、立面図、断面・矩計図、建具表、仕上表、設備図、機器表と、省エネ計算書を照合してください。特に変更履歴がある項目は要注意です。
提出前に確認したいポイントを整理すると、次のようになります。

確認対象提出前に見るポイント
建築概要用途・構造・面積・階数が一致しているか
平面図室用途、室面積、設備配置が一致しているか
建具表サッシ・ガラス仕様と計算入力が一致しているか
矩計図・仕様書断熱材種類・厚さ等が一致しているか
空調型番・能力・効率・台数が一致しているか
換気型番・風量・消費電力・台数が一致しているか
照明器具・消費電力・台数・制御方式が一致しているか
給湯熱源・能力・効率等が一致しているか
昇降機台数・積載量・速度・制御方式等が一致しているか
根拠資料入力値をカタログ等から確認できるか

ここで大切なのは、計算担当者だけでチェックしないことです。自分で入力したデータは、自分では間違いに気付きにくいものです。可能であれば別の担当者が図面と計算書を照合するだけでも、単純な不整合を見つけやすくなります。

省エネ適判を外注するときは「計算費用」だけで選ばない方がいい

省エネ適判で指摘が多くなるかどうかは、計算担当者の経験によっても変わります。単純にWEBプログラムへ入力して計算結果を納品する会社と、申請図書との整合まで確認する会社では、同じ「省エネ計算代行」でも対応範囲が異なります。また、省エネ適判の申請代行を依頼する場合には、審査機関との質疑対応が見積金額に含まれているかも確認しておきたいところです。

最初の計算費用が安くても、質疑対応がすべて別料金だったり、指摘事項への回答を設計者自身が行う契約だったりすると、結果として社内工数が増えることがあります。省エネ適判案件の外注先を探すときには、金額だけでなく「申請経験」「同用途の実績」「納期」「質疑対応」「設計変更時の対応範囲」まで比較することをおすすめします。

指摘対応まで任せられる省エネ計算会社をエネカルで比較できます

省エネ適判では、計算ができることだけでなく、図面との整合確認や審査機関からの質疑への対応経験が重要です。しかし、省エネ計算会社ごとに得意な建物用途、料金、納期、申請対応範囲は異なります。

エネカルでは、省エネ計算や省エネ適判を外注したい設計事務所、工務店、建設会社が案件条件を登録すると、条件に合った専門業者から複数の見積もり・提案を受け取ることができます。現在は最大15社から提案を受け取れる仕組みとなっているため、1社ずつ検索して問い合わせる必要はありません。

「省エネ適判の申請代行まで任せたい」「できるだけ指摘の少ない経験豊富な会社を探したい」「質疑対応まで含めて金額を比較したい」「急ぎなので短納期に対応できる会社を探したい」という場合は、建物用途、延べ面積、計算方法、希望納期、申請代行の有無などを入力して見積もりを依頼してください。

省エネ適判は、単に一番安い会社へ依頼するよりも、案件に合った経験と対応範囲を持つ会社を比較して選ぶことが重要です。エネカルを活用して、価格・納期・経験・質疑対応などを見比べながら、今回の案件に合う省エネ計算会社を探してみてください。

設計段階で「何を依頼すればいいのか分からない」という場合でも構いません。まずは現在お持ちの図面・資料と建物概要をお送りください。
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