【2026年最新版】CASBEEの対象となる建物とは?用途・規模・評価ツール別にプロが徹底解説

このニュースをざっくり説明すると

CASBEEの対象となる建物は、「延べ面積○㎡以上」と一律に決まっているわけではありません。CASBEE-建築(新築)は戸建住宅を除く幅広い用途を対象とし、戸建住宅にはCASBEE-戸建、既存の収益不動産にはCASBEE-不動産、オフィスの健康性・快適性を評価する場合はCASBEE-ウェルネスオフィスなど、目的に応じて評価ツールが変わります。また、CASBEEそのものの評価対象と、自治体が条例等で届出を義務付ける対象建築物は別です。自治体版CASBEEでは2,000㎡以上を対象とする地域が多い一方、福岡市のように5,000㎡超を基準とする例もあります。本記事では、2026年時点のCASBEEを用途・規模・評価ツール別に整理します。

CASBEEの対象は「建物の大きさ」だけでは決まりません

「CASBEEは何㎡以上の建物が対象ですか?」という質問をいただくことがあります。この質問に対して、単純に「2,000㎡以上です」と答えてしまうのは正確ではありません。

CASBEEは、建築物や街区などの環境性能を総合的に評価するための仕組みです。建築物の省エネルギー性能だけでなく、室内環境、サービス性能、資源・マテリアル、敷地内外の環境などを評価し、建築物の環境品質Qと環境負荷Lの考え方からBEE(建築物の環境性能効率)を算出します。評価結果は一般的にS、A、B+、B-、Cの5段階で示されます。

ここで重要なのが、CASBEEには複数の評価ツールがあり、それぞれ対象となる建物や目的が違うという点です。さらに、CASBEEを自主的に評価する場合、第三者認証を取得する場合、自治体の条例等によって届出する場合でも対象条件が異なります。
つまり、「CASBEEの対象かどうか」を判断するときには、少なくとも「建物用途」「新築か既存か」「戸建か非住宅・共同住宅か」「何のために評価するのか」「建設地の自治体で届出制度があるか」を確認しなければなりません。

2026年時点のCASBEE評価ツールを整理するとこうなります

CASBEEは一つの評価制度ではなく、目的別に複数のツールが用意されています。2026年時点では、CASBEE-建築(新築)、CASBEE-戸建、CASBEE-不動産、CASBEE-ウェルネスオフィス、CASBEE-街区などに加え、2026年には「CASBEE-ウェルネス不動産」の2026年版評価マニュアルも公開され、先行評価認証が始まっています。

評価ツール主な対象規模の考え方主な利用目的
CASBEE-建築(新築)戸建住宅を除く新築建築物ツール自体は用途が中心。認証には別条件あり新築建築物の総合環境性能評価
CASBEE-建築(改修)改修する建築物改修内容に応じる改修前後の環境性能評価
CASBEE-戸建一戸建専用住宅等戸建住宅向け戸建住宅の総合環境性能評価
CASBEE-不動産竣工後1年以上の既存建築物認証では建物規模自体は原則問わない不動産市場・ESG等での性能評価
CASBEE-ウェルネスオフィス事務所・複合建物の事務所部分オフィス部分を評価可能健康性・快適性・知的生産性等の評価
CASBEE-ウェルネス不動産竣工後1年以上の既存オフィス等事務所・事務所部分不動産市場でのウェルネス性能評価
CASBEE-街区再開発・面的開発等建物単体ではなく区域単位街区・地区全体の環境性能評価

CASBEEそのものの評価方法を詳しく知りたい方は、エネカルの関連ブログも参考にしてください。

関連ブログ: CASBEEの計算方法とは?

CASBEE-建築(新築)は戸建住宅以外の幅広い建物が対象です

設計事務所や建設会社が実務で最も目にすることが多いのが、CASBEE-建築(新築)です。
CASBEE-建築(新築)は、戸建住宅を除くすべての用途に適用可能とされています。評価対象となる用途は、事務所、学校、物販店、飲食店、集会所、工場、病院、ホテル、集合住宅などです。共同住宅についても建物全体としてCASBEE-建築(新築)の対象となります。

例えば、次のような建築物が対象になり得ます。オフィスビル、庁舎、小中学校・大学、ショッピングセンター、スーパーマーケット、飲食店舗、体育館・劇場・博物館、工場・倉庫、病院・老人ホーム、ホテル・旅館、マンション・共同住宅などです。

工場については少し特殊で、製造ラインなどの生産エリアすべてを一般的な居室と同じように評価するわけではありません。CASBEE-建築(新築)では、室内環境や機能性について主に事務所などの居住エリアを評価し、省エネルギー評価についても建築物省エネ基準上の計算対象外となる生産エリアのエネルギー消費は対象外とされます。

実際の認証事例を見ると、事務所、物流倉庫、工場、物販店舗、飲食店、集会所など多様な用途でCASBEE建築評価認証が取得されています。2025年9月の認証事例でも、冷凍冷蔵倉庫、工場、庁舎などでCASBEE-建築(新築)2024年版による評価が行われています。

関連ブログ: 【CASBEE】2025年9月度に認証された建物まとめ

「CASBEEは300㎡以上」という話は第三者認証の条件と混同しやすい

ここは実務でかなり誤解されやすい部分です。
CASBEE-建築(新築)という評価ツールそのものの対象と、IBECs等によるCASBEE建築評価認証の対象条件は分けて考える必要があります。

建築環境総合性能評価認証制度の要綱では、CASBEE建築評価認証については、原則として延べ面積300㎡以上を対象としています。つまり「300㎡」という数字はCASBEEという評価手法そのものの絶対的な下限ではなく、第三者によるCASBEE建築評価認証の条件として出てくる数字です。

さらに後述する自治体版CASBEEでは、2,000㎡以上など別の基準が設定されています。この三つを混同すると、「この建物は300㎡だからCASBEEが義務」「2,000㎡未満だからCASBEEはできない」といった誤った判断につながります。設計実務では、まず「自主評価なのか」「第三者認証なのか」「自治体への届出なのか」を確認するのが先です。

戸建住宅ならCASBEE-戸建を使用します

一戸建て住宅の場合、CASBEE-建築(新築)ではなくCASBEE-戸建を使用します。
CASBEE-戸建(新築)の対象は、一戸建専用住宅と、確認申請上の専用住宅で内部で行き来できる二世帯住宅です。既存住宅向けのCASBEE-戸建では一戸建専用住宅が対象となります。評価対象は建物本体だけではなく、外構、居住者が使用する機器、住まい方に関する情報提供、材料製造や施工時の取組なども含めて総合的に評価します。

つまり、「住宅だからCASBEE対象外」ということではありません。戸建住宅には戸建住宅専用のCASBEEがある、と考える方が分かりやすいでしょう。
2026年時点ではCASBEE-戸建(新築)評価マニュアルの2025年版が公開されています。CASBEEを検討する場合は、古い評価ソフトやマニュアルをそのまま使わず、評価・申請時点で対象となる最新版を確認することが重要です。

関連ブログ: CASBEE戸建(新築)とは?

戸建住宅についてはCASBEEだけでなく、長期優良住宅、ZEH、住宅性能評価など複数の性能評価制度があります。それぞれ評価目的が異なるため、「高性能住宅だから全部同じ」と考えないようにしましょう。

関連ブログ: 【2026年最新版】長期優良住宅の仕様完全ガイド。8つの認定基準を等級・数値で徹底解説【保存版】

既存建物ならCASBEE-不動産という選択肢があります

竣工済みの建物を評価したい場合には、CASBEE-不動産が重要になります。
CASBEE-不動産は、不動産市場で建築物の環境性能を分かりやすく活用することを目的として開発されたツールです。基本的には竣工後1年以上が経過し、実際の運用実績データを持つ既存建築物を対象とします。2021年版では集合住宅が追加され、2024年版ではさらにホテルが評価対象用途として追加されています。現在はオフィス、店舗、物流施設、集合住宅、ホテルなどの既存不動産で活用できる体系となっています。

CASBEE-不動産評価認証については、建物規模そのものは原則として問われませんが、対象用途となる部分が建物全体に一定割合以上含まれている必要があります。また、認証を取得する場合には登録されたCASBEE不動産評価員が評価・申請図書作成を行う必要があります。

ここがCASBEE-建築(新築)との大きな違いです。これから建設する建物の設計性能を評価したいのであればCASBEE-建築(新築)、すでに運用されている不動産の環境性能を投資・ESG・資産価値の観点から評価したいのであればCASBEE-不動産、と目的から逆算すると選びやすくなります。

オフィスならCASBEE-ウェルネスオフィスも検討できます

CASBEE-ウェルネスオフィスは、単純な省エネ性能ではなく、オフィスで働く人の健康性、快適性、知的生産性、安全・安心などに着目した評価ツールです。
主な対象は事務所用途の建物です。複合用途ビルの場合でも、事務所用途の部分を対象として評価できます。評価範囲はワークプレイスだけでなく、事務所用途部分の共用部も含まれます。

2026年時点ではCASBEE-ウェルネスオフィス評価マニュアル2025年版が使用されており、第三者認証ではCASBEEウェルネスオフィス評価員が評価を行う必要があります。

一般的なCASBEE-建築では建物の環境性能を幅広く評価しますが、ウェルネスオフィスでは「そのオフィスで働く人にとって健康的で快適な環境になっているか」という視点が強くなります。ESG投資、テナント誘致、企業の人的資本・ウェルビーイングへの取組と組み合わせて検討されるケースもあります。

関連ブログ: CASBEEウェルネスオフィスの評価項目や採点基準を解説

2026年は「CASBEE-ウェルネス不動産」も押さえておきたい

2026年のCASBEEで注目したい新しい動きが、CASBEE-ウェルネス不動産です。IBECsは2026年3月にCASBEE-ウェルネス不動産2026年版の評価マニュアルを公開し、4月から先行評価認証を開始しました。

評価対象は、原則として竣工後1年以上の既存建築物で、事務所用途の建築物、または複合用途建築物の事務所部分です。CASBEE-ウェルネスオフィスよりも、不動産市場でウェルネス性能を簡潔に評価・格付けし、建物性能に関する情報として活用することを意識した仕組みです。

2026年9月18日時点では先行評価認証の段階で、IBECsは2026年9月30日までを先行認証の受付期限として案内しています。制度が動き始めたばかりなので、今後オフィス不動産のESG評価や資産価値評価との関係で注目度が高まる可能性があります。

「新築オフィスの環境性能を総合評価したい」「既存オフィスの環境性能を評価したい」「ワーカーの健康・快適性を重視したい」「不動産市場でウェルネス性能を示したい」では、適切なCASBEEツールが変わります。最初に評価目的を明確にすることが重要です。

再開発や大規模な面的整備ならCASBEE-街区が対象になります

CASBEEは建物一棟だけを評価する仕組みではありません。市街地再開発、土地区画整理、大規模住宅地開発など、複数の建物や公共空間を含む面的なプロジェクトにはCASBEE-街区があります。

CASBEE-街区では、評価対象となる区域に仮想境界を設定し、その区域内の環境品質と区域外へ与える環境負荷の両面から評価します。対象区域としては、市街地再開発事業、土地区画整理事業、都市再生特別地区、地区計画などによって定められる事業区域が想定されています。

そのため、大規模な再開発事業について「建物が10棟あるので10棟を個別にCASBEE評価すれば終わり」というわけではありません。プロジェクトの目的によってはCASBEE-街区を用い、エネルギーだけでなく地域環境、社会、経済なども含めた面的評価を行う選択肢があります。

CASBEEとZEBは同じ制度ではありません

CASBEEについて調べていると、ZEBやBELSと一緒に検討されることがあります。しかし、CASBEEとZEBは評価の考え方が違います。

ZEBは主として建築物のエネルギー消費量削減と再生可能エネルギーによる創エネを組み合わせ、年間の一次エネルギー消費量を大幅に削減することを目指す考え方です。一方CASBEEは、エネルギーだけでなく室内環境、サービス性能、資源、マテリアル、敷地内外の環境などを含めて総合的に評価します。CASBEE-建築(新築)2024年版でも、建築物省エネ法の基準強化への対応、再生可能エネルギー、コミッショニング、J-CATに準拠したホールライフカーボン評価などが更新されています。

したがって、ZEB Readyを取得している建物だから自動的にCASBEE Sランクになるわけではありません。反対に、CASBEEで高評価でも必ずZEBの定義を満たすわけではありません。

ただし、どちらも脱炭素建築を検討するうえで関連性は高く、省エネ計算結果や設備性能など共通して使用する情報があります。CASBEEとZEBを同時に検討する案件では、設計初期から両方の評価条件を確認しておくと手戻りを減らしやすくなります。

関連ブログ: 【保存版】これだけ見れば大丈夫!ZEBまとめ

2,000㎡以上ならCASBEEが必ず必要、とは限りません

CASBEEの対象を調べる際に最も注意したいのが、自治体版CASBEEです。
CASBEEそのものは全国一律で「2,000㎡以上なら必ず届出」という制度ではありません。しかし、一部の地方公共団体では建築物環境配慮制度等を設け、一定規模以上の建物を建築する際にCASBEEを利用した評価書等の届出を義務付けています。IBECsの2026年4月更新資料では、CASBEEを届出制度として利用する自治体が24自治体掲載されています。

しかも対象面積はすべて同じではありません。

自治体の例対象となる床面積の下限
横浜市2,000㎡以上
大阪市2,000㎡以上
京都市2,000㎡以上
札幌市2,000㎡以上
愛知県2,000㎡超
福岡市5,000㎡超

IBECsの集計では、多くの自治体が2,000㎡以上を基準とする一方、福岡市は5,000㎡超となっています。また自治体によって「以上」と「超」の違い、任意届出、小規模建築物への対応、地域独自の評価項目などがあります。

例えば愛知県のCASBEEあいちでは、2,000㎡超が義務届出、2,000㎡以下は任意提出という運用になっています。横浜市でも2,000㎡以上の建築物が特定建築物として扱われます。

したがって、設計案件でCASBEEが必要か判断するときには、「延べ面積が2,000㎡を超えているからCASBEE」と機械的に判断するのではなく、必ず建築地の自治体制度を確認してください。

用途と目的からCASBEEツールを選ぶと分かりやすい

ここまでを実務的に整理すると、CASBEEの評価ツール選びは建物の大きさからではなく、「どんな建物を、どの段階で、何のために評価するのか」から考えると分かりやすくなります。

新築の事務所、店舗、学校、病院、ホテル、工場、共同住宅などを総合的に評価するのであればCASBEE-建築(新築)。一戸建住宅ならCASBEE-戸建。すでに1年以上運用されているオフィス、店舗、物流施設、集合住宅、ホテルなどの不動産価値・ESG評価を意識するならCASBEE-不動産。オフィスワーカーの健康性・快適性を評価するならCASBEE-ウェルネスオフィス。既存オフィスのウェルネス性能を不動産市場向けに評価したいなら、2026年に始まったCASBEE-ウェルネス不動産も選択肢になります。

そして、市街地再開発など複数の建築物を含む面的なプロジェクトであればCASBEE-街区です。
「CASBEEを取りたい」という話から始めるのではなく、「何を評価して、誰に結果を示したいのか」を最初に決めることが、適切なツール選択につながります。

CASBEEの対象建物を判断するときのポイント

CASBEEの対象について相談を受けたとき、私たちは最初に建物用途と所在地を確認します。そのうえで、新築・既存・改修のどれなのか、延べ面積はどの程度なのか、自治体への届出なのか、第三者認証を取得したいのか、自主評価なのかを確認します。

特に自治体版CASBEEの場合は、全国版CASBEEと同じ評価ソフトをそのまま使用するとは限りません。自治体の地域性や環境政策を反映するため、評価項目や重み係数などが調整された地域版CASBEEが利用されていることがあります。IBECsも、自治体ごとに地域特性に応じた評価基準や重み係数の変更が行われていると説明しています。

そのため、以前CASBEEを申請した経験があっても、別の自治体では必要資料や評価方法が異なる可能性があります。「前回のCASBEEデータを使えばそのまま提出できる」と考えず、建設地ごとの最新ルールを確認した方が安全です。

CASBEEは省エネ計算だけでは完成しません

CASBEEの評価には省エネルギー性能が重要ですが、CASBEE計算は省エネ計算の結果を入力すれば終わるわけではありません。

CASBEEでは、室内環境、サービス性能、敷地内の室外環境、エネルギー、資源・マテリアル、敷地外環境など幅広い項目を評価します。設計図、設備図、省エネ計算書だけでなく、仕上仕様、耐用性、維持管理、緑化、騒音対策、地域環境への配慮などさまざまな資料を確認する必要があります。

特にSランクやAランクなど高い評価を目標にする案件では、実施設計がほぼ完成してからCASBEEを計算するのでは遅い場合があります。評価を上げるために仕様変更が必要になれば、意匠・設備・外構などへ手戻りが発生するからです。

高評価を求める案件ほど、「完成した図面を採点する作業」と考えるのではなく、設計途中で一度評価し、弱い項目を把握しながら設計へ反映する進め方がおすすめです。

CASBEE計算・評価の外注先はエネカルで比較

CASBEEは評価ツールによって必要な知識や資料が異なります。CASBEE-建築、CASBEE-戸建、CASBEE-不動産、ウェルネスオフィスなど、すべての代行会社が同じ分野を得意としているわけではありません。また、自治体版CASBEEへの届出経験、第三者認証の対応経験、希望ランクへの改善提案、省エネ計算やZEBとの連携なども会社によって対応範囲が変わります。

エネカルでは、CASBEEを含む省エネ計算・各種申請代行案件を登録し、条件に合った専門業者から複数の見積もり・提案を受け取ることができます。現在は条件にマッチした専門業者最大15社から提案を受け取れる仕組みとなっており、CASBEEも依頼可能な業務として掲載されています。

「この建物はどのCASBEEを使えばよいのか分からない」「自治体へのCASBEE届出を外注したい」「CASBEE-建築でAランク以上を目指したい」「CASBEEとZEBをまとめて相談したい」「CASBEE不動産の認証経験がある会社を探したい」といった場合は、建物用途、所在地、延べ面積、新築・既存の別、希望する評価・認証内容などを記載して見積もりを依頼してください。

CASBEEは「計算できる会社」であればどこへ依頼しても同じ、という業務ではありません。対象となるツールや自治体制度、目標ランク、認証の有無によって必要な対応が変わります。複数の専門業者から費用、納期、実績、対応範囲を比較し、今回の建物に合ったCASBEEの外注先を選んでみてください。

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