建築リサイクルの基礎知識|コンクリート・鉄・木材はどこまで再利用できる?

このニュースをざっくり解説

建築リサイクルとは、新築・改修・解体工事などで発生するコンクリート塊、鉄スクラップ、木材などを分別・回収し、再び資源として利用する取り組みです。国土交通省の2022年度モニタリング調査では、コンクリート塊の再資源化率は99.4%、建設発生木材の再資源化・縮減率は98.0%と報告されています。ただし、再資源化率が高いことと、元の建材と同じ用途で再利用できることは異なります。コンクリートは道路の路盤材、鉄はスクラップからの鋼材製造、木材はボード原料や燃料など、材料によって再利用方法が変わります。本記事では、建築リサイクルの仕組みと法律、主要建材の再利用方法、CO₂削減との関係、設計・解体時の注意点について解説します。

建築リサイクルとは?建設廃棄物を再び資源として利用する取り組み

建築リサイクルとは、建物の新築、改修、解体などによって発生する資材を適切に分別・回収し、再び製品や建設資材などへ利用する取り組みです。建築工事ではコンクリート、鉄、木材、ガラス、石膏ボード、断熱材、プラスチックなど多くの材料が使用されており、建物の解体時には、これらが大量の建設廃棄物として発生します。

従来、建物を解体する際には、発生した資材を廃棄物として処理することが一般的でした。しかし、処分場の確保や天然資源の消費、建材製造時のCO₂排出量などを考慮すると、まだ利用できる資材をそのまま廃棄することは、環境面でも資源利用の面でも課題があります。そこで、コンクリートを破砕して再生砕石にする、鉄スクラップを溶解して新しい鋼材の原料にする、木材をチップ化してボード原料にするなど、材料の性質に応じた再資源化が進められています。

ただし、建築リサイクルは廃棄物を減らすことだけが目的ではありません。新しい天然資源の使用量を抑えること、建材をできるだけ長く利用すること、再生材を適切な用途へ供給することなども重要です。近年では、リサイクルを前提に解体するだけでなく、建物を設計する段階から将来の部材交換や再利用を考慮する「循環型建築」への関心も高まっています。

リユース・リサイクル・サーマルリカバリーは何が違う?

建築リサイクルを考える際、最初に整理しておきたいのが、リユースとリサイクルの違いです。どちらも資源の有効活用につながりますが、材料の利用方法が異なります。

リユース(再使用)は、取り外した建材や部材を、できるだけ元の形状を保ったまま再び利用することです。例えば古民家から取り外した梁や柱を別の建物へ利用する方法や、状態のよい建具・金物などを再使用する方法が該当します。一方、リサイクル(再生利用)は、材料を破砕・選別・溶解するなどして、別の製品や建設資材の原料として利用することです。

また、木材などを燃料として使用し、熱や電力を回収する方法は、サーマルリカバリー(熱回収)と呼ばれます。これは建材を再び製品として使用するマテリアルリサイクルとは区別されます。

利用方法具体例特徴
リユース(再使用)解体した梁・柱・建具などを再使用部材の形状をできるだけ維持する
マテリアルリサイクルコンクリートを砕石へ、木材をボード原料へ加工材料を再加工して資源として利用する
サーマルリカバリー廃木材を燃料として熱や電力を回収材料そのものではなくエネルギーを回収する
最終処分再利用が困難な廃棄物を埋立処分等資源としての循環が途切れる

特に注意したいのは、再資源化率という数字だけで、建材がどの程度再使用されているかを判断することはできない点です。例えばコンクリート塊が道路の路盤材として利用されても再資源化に該当しますが、元のコンクリート構造物と同じ用途へ戻っているわけではありません。

日本の建設リサイクル法では何が義務付けられている?

日本では、建設工事に伴って発生する廃棄物の再資源化を促進するため、2000年に建設リサイクル法(建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律)が制定されました。この法律では、特定建設資材を使用した建築物等の解体工事や、特定建設資材を使用する新築工事等のうち、一定規模以上の工事について、分別解体等と再資源化等が義務付けられています。

対象となる特定建設資材は、コンクリート、コンクリート及び鉄から成る建設資材、木材、アスファルト・コンクリートの4種類です。鉄骨や鉄筋などの金属くずも適切な分別・処理が必要ですが、独立した鉄鋼材すべてが、この法律における特定建設資材として列挙されているわけではありません。

主な対象工事の規模は次のとおりです。

工事の種類建設リサイクル法の対象規模
建築物の解体工事床面積80㎡以上
建築物の新築・増築工事床面積500㎡以上
建築物の修繕・模様替え等請負代金1億円以上
建築物以外の工作物の解体・新築等請負代金500万円以上

対象工事では、原則として工事着手の7日前までに、発注者が分別解体等の計画について所定の届出を行う必要があります。また、解体工事や再資源化に要する費用を請負契約書へ明記するなど、手続き上のルールも設けられています。

なお、建設リサイクル法の対象規模に満たない工事であっても、廃棄物処理法などに基づく適正な分別・処理が不要になるわけではありません。

建設廃棄物は実際にどのくらいリサイクルされている?

国土交通省では、建設工事から発生する副産物の利用・再資源化状況を把握するため、建設副産物実態調査やモニタリング調査を実施しています。

2022年度の建設副産物モニタリング調査では、コンクリート塊の再資源化率は99.4%、アスファルト・コンクリート塊は99.7%と報告されています。また、建設発生木材の再資源化・縮減率は98.0%、建設廃棄物全体の再資源化・縮減率は97.4%となっています。

建設副産物指標2022年度調査結果
コンクリート塊再資源化率99.4%
アスファルト・コンクリート塊再資源化率99.7%
建設発生木材再資源化・縮減率98.0%
建設廃棄物全体再資源化・縮減率97.4%

※国土交通省「2022年度建設副産物モニタリング調査」の結果。モニタリング調査は対象工事を抽出して実施する簡易調査であり、国内のすべての建設工事を対象とした全数調査ではありません。また、再資源化率と再資源化・縮減率は定義が異なります。

この数字を見ると、日本の建設リサイクルは高い水準にあることが分かります。しかし、ここで注目したいのは、再資源化された材料が最終的に何へ利用されているかという点です。コンクリートは道路の路盤材などへの利用が中心であり、木材ではチップ化した後、燃料として利用される量も少なくありません。今後は単純に再資源化率を高めるだけでなく、より品質の高い再生材として再利用することも課題となっています。

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コンクリートはどこまで再利用できる?

建設リサイクルの代表的な対象となるのがコンクリートです。RC造の建築物や基礎、土木構造物などを解体すると、大量のコンクリート塊が発生します。これらは破砕・選別処理によって再生砕石や再生砂などへ加工され、新たな建設工事で利用されています。

国土交通省が2018年度の建設副産物実態調査をもとに整理した資料によると、現場外へ搬出されたコンクリート塊の約94%は再生クラッシャランとして再資源化され、道路の路盤材などに利用されています。また、約5%は再生砂として利用され、コンクリート用骨材として再利用される量はわずかでした。

つまり、コンクリートは高い割合でリサイクルされているものの、その大部分が再びコンクリート構造物に使用されているわけではありません。従来は、破砕して道路などの基礎材料へ利用する方法が中心となっています。

再生コンクリートは建物の構造材にも使える?

解体したコンクリートを再びコンクリート用の骨材として利用する技術も整備されています。ただし、解体したコンクリート塊を破砕するだけでは、通常の天然骨材と同じ品質になるとは限りません。元の骨材に付着したモルタルなどによって吸水率や品質が変わるため、必要に応じて破砕・研磨・選別などの処理が行われます。

国内では、品質に応じて再生骨材H・M・Lの区分が設けられており、対応するJIS規格が整備されています。

区分関連するJIS規格主な特徴
再生骨材H(高品質)JIS A 5021天然骨材に近い品質を目指した再生骨材
再生骨材コンクリートM(中品質)JIS A 5022品質特性を考慮し、適切な部材・用途へ使用
再生骨材コンクリートL(低品質)JIS A 5023高い強度・耐久性を必要としない用途などを想定

このように、品質が確認された再生骨材であれば、新たなコンクリート製品へ利用することも可能です。ただし、建物の構造部材へ採用する場合には、適用するJIS規格や設計基準、要求性能などを満たしているか確認する必要があります。

また、再生骨材を製造する際には破砕や研磨などの処理が必要であり、天然骨材を使用する場合と比較して、輸送条件や処理工程によってCO₂排出量が変わります。再生材を使用するだけで必ず環境負荷が小さくなるとは限らないため、LCAによる評価も重要になります。

鉄は繰り返しリサイクルできる?鉄骨・鉄筋の再利用方法

鉄は、建築物に使用される材料の中でも、リサイクル技術が確立されている資源の一つです。S造の建物に使用される鉄骨や、RC造に使用される鉄筋などは、解体工事によって回収された後、鉄スクラップとして再資源化できます。

回収された鉄スクラップは、選別や切断などの処理を経て、電炉(電気炉)などで溶解され、新しい鋼材の原料として利用されます。国内でも鉄スクラップを使用した電炉による鋼材製造が行われており、鉄筋などの建設用鋼材にも再生原料が活用されています。

鉄スクラップを使用するメリットの一つは、鉄鉱石から新たに鉄を製造する工程の一部を代替できることです。ただし、回収した鉄を溶解・精錬する際にも電力や燃料を使用するため、CO₂排出量がゼロになるわけではありません。実際の排出量は、電炉に使用する電力の構成や原料の品質、製造工程などによって異なります。

また、鉄は何度でも無条件に同じ品質へ戻せるというものではありません。回収したスクラップに銅などの不純物が混入すると、製造する鋼材の品質に影響することがあります。特に高品質な鋼材を製造するためには、解体時の分別やスクラップの選別技術が重要になります。

鉄骨を溶かさずに再使用する方法もある

鉄骨については、スクラップとして溶解するだけでなく、解体時に部材を取り外し、別の建物へ再使用する方法もあります。例えば、状態のよいH形鋼や鋼管などを取り外し、寸法や品質、損傷の有無などを確認したうえで、新しい建築計画へ利用する取り組みです。

ただし、過去に使用された鉄骨を建物の構造部材として再使用する場合は、材料の規格、強度、腐食や損傷の状態、溶接・接合部の履歴などを確認する必要があります。必要な品質を証明できない部材を、そのまま新築建物の構造材として使用できるわけではありません。

鉄を溶解して新しい鋼材を製造する方法と、既存の鉄骨を部材のまま再使用する方法では、必要な加工工程が異なります。将来的に部材としての再使用を増やすには、解体時に部材を傷めずに取り外せる接合方法や、建材の履歴・性能を管理する仕組みなども重要になります。

木材はどこまで再利用できる?建築材・ボード原料・燃料としての活用

木材は、住宅の柱や梁、床材、内装材など、さまざまな用途で使用される建築資材です。木造住宅などを解体した際に発生する建設発生木材は、状態や品質に応じて再使用・再資源化されています。

例えば、傷みが少なく必要な性能を確認できる柱や梁、建具などは、別の建物や製品へ再使用できる場合があります。一方、部材としての再使用が難しい木材でも、破砕してチップ状に加工することで、パーティクルボード、製紙原料、敷料、マルチング材、燃料などへ利用することができます。

ただし、木材の再資源化では、すべての材料が新しい建築用木材へ戻っているわけではありません。国土交通省が2018年度の建設副産物実態調査をもとに整理した資料では、再資源化施設から供給された建設発生木材のうち、約59%が燃料として利用されています。一方、パーティクルボード原料としての利用は約6%、製紙用が約5%などとなっています。

このように、木材ではマテリアルリサイクルだけでなく、バイオマス発電などで熱や電力を回収するサーマルリカバリーも大きな割合を占めています。

古い木材を新しい住宅へ使用する際の注意点

古民家の梁や柱などを新しい建物へ使用する場合、木材の形状や寸法だけでなく、腐朽、虫害、割れ、含水率、強度などを確認する必要があります。特に構造材として再使用する場合は、必要な構造性能を確保できるか判断することが重要です。

また、解体材には塗料、接着剤、防腐剤、防蟻剤などが使用されている場合があります。例えばCCA系防腐剤で処理された木材は、クロム・銅・ヒ素などの成分を含むため、一般的な木材チップや燃料へ無条件に混合できるわけではありません。建設発生木材を再資源化する際には、こうした材料を適切に選別・処理する必要があります。

木材は再生可能な資源ですが、再使用できるかどうかは元の材料の状態や用途によって変わります。そのため、良質な部材は可能な範囲で再使用し、再使用が難しいものは製品原料へのリサイクルを検討するなど、材料の状態に応じた利用方法を選ぶことが重要になります。

コンクリート・鉄・木材のリサイクルを比較

ここまでの内容を整理すると、コンクリート・鉄・木材は、いずれも再資源化が可能ですが、その後の利用方法や品質面の課題は異なります。

建材主な再利用・再資源化方法主な課題
コンクリート再生砕石、路盤材、再生砂、再生骨材コンクリート元のコンクリートと同等の用途へ戻すには品質管理が必要
鉄・鋼材鉄スクラップからの新しい鋼材製造、鉄骨部材の再使用不純物の混入、部材の品質・履歴確認
木材柱・梁等の再使用、パーティクルボード、製紙原料、燃料腐朽・損傷、防腐剤等の混入、燃料利用の割合
アスファルト・コンクリート再生アスファルト混合物、再生路盤材品質や再生材の混合条件に応じた用途の選定

それぞれの建材について、単純な再資源化率だけではなく、回収後にどのような製品へ利用されるのかを確認することが重要です。特に近年は、再生材を元の製品と同じ、または近い用途へ戻す「水平リサイクル」の拡大が課題となっています。

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リサイクル材を使用すれば必ずCO₂排出量を削減できる?

建築リサイクルは、天然資源の使用量や最終処分量を減らすうえで重要ですが、再生材を使用すれば、どのような条件でもCO₂排出量が小さくなるとは限りません。

例えば、解体したコンクリートを再生骨材へ加工する場合には、破砕、研磨、選別などの工程でエネルギーを使用します。また、解体現場から再資源化施設までの輸送距離や、再生材を新しい建設現場まで運搬する距離によってもCO₂排出量が変わります。近隣で天然骨材を調達できるケースと、遠方から再生骨材を運搬するケースでは、輸送に伴う環境負荷も含めて比較する必要があります。

鉄についても、電炉によってスクラップから新しい鋼材を製造する場合は、溶解に必要な電力や燃料の排出量が関係します。木材を燃料として利用する場合には、熱や電力を回収する一方で、燃焼によってCO₂が排出されるため、その環境効果は燃料代替や炭素の取扱いなどを含めて評価する必要があります。

こうした建材の製造、輸送、施工、使用、解体まで含めた環境負荷を評価する方法が、建築物LCA(ライフサイクルアセスメント)です。リサイクル材の採用によってどの程度CO₂排出量を削減できるかを確認する際には、材料単体の製造時排出量だけでなく、建物全体の評価条件を揃えて比較することが重要になります。

解体時の分別が建材リサイクルの品質を左右する

建設資材を適切にリサイクルするためには、解体時の分別が重要です。例えばコンクリート塊に木材や石膏ボード、プラスチックなどが混入すると、再生砕石や再生骨材として加工する際に選別工程が増え、品質にも影響する場合があります。また、木材に金属や防腐処理材などが混在すると、ボード原料や燃料として使用できないこともあります。

特に古い建築物を解体する際には、再利用可能な部材だけでなく、アスベスト含有建材やその他の有害物質の有無を事前に確認する必要があります。これらを適切に調査・処理せず、ほかの建設廃棄物へ混入させると、再資源化を妨げるだけでなく、作業者や周辺環境への影響も生じる可能性があります。

また、コンクリート、鉄、木材などを分別していても、最終的に再生材を利用できる施設や需要先がなければ、有効な資源循環につながりにくくなります。解体計画を作成する段階で、発生する資材の種類や数量、受入可能な再資源化施設などを確認しておくことが重要になります。

建築リサイクルは設計段階から考えることも重要

建築リサイクルというと、建物を解体するときの廃棄物処理をイメージすることが多いかもしれません。しかし、将来的に建材を再使用・再資源化しやすい建物とするためには、設計段階からの検討も有効です。

例えば、部材を一体化して取り外しにくい構法よりも、交換や分解がしやすい接合方法を採用できれば、改修や解体の際に部材を取り外して再使用できる可能性が高まります。また、異なる種類の材料を必要以上に複合化しないことや、使用する建材の種類・数量・仕様を記録しておくことも、将来の再利用を検討する際に役立ちます。

さらに、設備更新がしやすい建築計画や、既存の構造躯体を活用した改修なども、建築リサイクルと関係する取り組みです。例えば建物を解体して新築するのではなく、使用可能な躯体を残して断熱改修や設備更新を行う場合、新しい建材の製造や既存建物の解体に伴う環境負荷を減らせる可能性があります。ただし、新築と改修のどちらが環境面で有利になるかは、既存建物の状態や改修規模、改修後の省エネ性能などによって異なります。

こうした建物の設計から使用、改修、解体、再利用までを一体的に考える取り組みは、サーキュラーエコノミー(循環経済)の考え方とも関係しています。

海外でも建築リサイクルと循環型建築への取り組みが進む

建築リサイクルは日本だけの課題ではありません。欧州委員会によると、建設・解体廃棄物はEU全体で発生する廃棄物の3分の1以上を占めています。そのため、EUでは建設廃棄物の削減や再利用、リサイクルを循環経済における重要な取り組みとして位置付けています。

EUの建設・解体廃棄物管理に関するガイドラインでは、解体前に使用建材や有害物質を調査し、再使用可能な部材を把握することや、選別解体によって資材を適切に分離することが推奨されています。単に廃棄物を処理施設へ運搬するのではなく、解体前の調査から再生材の品質管理までを含めて資源循環を進める考え方です。

また、建材の材質、数量、性能、製造情報などを記録するマテリアルパスポートも、循環型建築に関係する取り組みとして注目されています。建物が解体される数十年後にも、どの部材がどのような材料で構成されているかを確認できれば、部材の再使用や適切な再資源化を検討しやすくなります。

日本でも、今後は単に高い再資源化率を維持するだけでなく、再生材の品質や用途を高めることが重要になります。

2026年以降の建築リサイクルで注目したいこと

建築分野の脱炭素化が進む中、建設廃棄物の再資源化と建築物LCAの関係も重要になっています。日本では2026年7月に建築物ライフサイクルカーボン評価制度を創設する改正建築物省エネ法が成立し、2028年度の大規模事務所に係る届出制度等の開始に向けて、具体的な制度設計が進められています。

これまでの建築物の環境性能評価では、主に断熱性能や設備効率など、建物使用中の省エネ性能が重視されてきました。しかし、LCAでは建材の製造や輸送、施工、修繕、解体・廃棄なども評価対象となるため、資材の種類や使用数量、再生材の採用なども設計上の検討項目になります。

今後は、建設時に発生する廃棄物を適切に再資源化するだけでなく、設計段階から建材の使用量を抑えること、必要な性能を満たす再生材を採用すること、建物を長く使用することなど、ライフサイクル全体で環境負荷を減らす取り組みが重要になります。

建築リサイクルは再資源化率だけでなく再利用の質が重要

コンクリート・鉄・木材は、いずれも建築リサイクルの対象となる重要な資源です。コンクリートは道路の路盤材や再生骨材、鉄はスクラップからの新しい鋼材製造、木材はボード原料や燃料など、それぞれの性質に応じて再利用されています。

一方、コンクリートの大部分が元のコンクリート構造物と同じ用途へ戻っているわけではなく、木材についても燃料としての利用が多く含まれています。今後の建築リサイクルでは、廃棄物を減らすことに加えて、建材をより高い品質で再利用することや、設計段階から部材の交換・分解・再使用を考慮することが重要になります。

また、再生材の採用によるCO₂削減効果は、製造や再生処理、輸送などの条件によって異なります。建築物の省エネ計算とLCAを組み合わせ、建物の運用時だけでなく、建設から解体までの環境負荷を確認することが、脱炭素建築を進めるうえでの一つの方向性となっています。

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