
2025年4月から、原則としてすべての新築住宅・非住宅建築物で省エネ基準への適合が義務化されました。そのため、これまで省エネ計算を行っていなかった小規模な戸建住宅、店舗、事務所などでも、省エネ基準への対応が必要になっています。
ただし、省エネ計算の費用は「住宅なら○万円」と単純には決まりません。
戸建住宅なのか、アパート・マンションなのか、事務所なのか、工場なのか。さらに延べ面積、住戸数、設備、計算方法、省エネ適判の申請まで依頼するかによって金額が変わります。
そこで今回は、実際にありそうな建物を例に、省エネ計算から省エネ適判申請まで外注するといくら程度になるのかをまとめます。なお、以下の代行費は複数の省エネ計算会社が公開している料金を参考にした目安です。
まずは住宅・共同住宅・非住宅の費用を比較
省エネ計算と省エネ適判申請をまとめて依頼した場合の費用になります。
| 建物例 | 規模 | 適判申請代行(審査機関への支払い) | 代行費合計の目安(代行会社への支払い) |
|---|---|---|---|
| 木造戸建住宅 | 120㎡・2階 | 2~3万円 | 7~11万円程度 |
| 大型戸建住宅 | 220㎡・2階 | 2~3万円 | 9~13万円程度 |
| 木造アパート | 4戸・250㎡ | 2~3万円 | 7~13万円程度 |
| 木造アパート | 8戸・450㎡ | 2~3万円 | 12~23万円程度 |
| RCマンション | 20戸・1,500㎡ | 2~3万円~ | 22~43万円程度 |
| 小規模事務所 | 250㎡ | 2~3万円 | 7~11万円程度 |
| 店舗・事務所 | 800㎡ | 2~3万円 | 9~18万円程度 |
| ホテル・福祉施設 | 1,500㎡ | 2~3万円~ | 14~28万円程度 |
| 工場・倉庫 | 500~1,500㎡ | 2~3万円 | 8万円前後~ |
これはあくまで「代行会社へ支払う費用」の目安です。登録省エネ審査機関へ支払う省エネ適判の審査手数料は別途必要になります。 代行会社側の申請料金と審査機関の料金を分けている会社がほとんどです。
戸建住宅の省エネ計算・適判代行費用
住宅では、外皮性能と一次エネルギー消費性能の両方について省エネ基準への適合を確認します。外皮計算ではUA値やηAC値、一次エネルギー計算では暖冷房、換気、給湯、照明などの設備仕様が関係します。国土交通省の手続きマニュアルでも、住宅は外皮性能基準と一次エネルギー消費性能基準の双方を満たす必要があるとされています。
代行会社の料金は、100~150㎡程度の戸建住宅について、省エネ計算5万~8万円程度という価格帯が一般的です。
| 戸建住宅の例 | 延べ面積 | 計算代行費目安 | 適判申請代行 | 合計目安 |
|---|---|---|---|---|
| 木造平屋住宅 | 90㎡ | 4~6万円 | 2~3万円 | 6~9万円 |
| 木造2階建て住宅 | 120㎡ | 5~8万円 | 2~3万円 | 7~11万円 |
| 木造3階建て住宅 | 160㎡ | 7~10万円 | 2~3万円 | 9~13万円 |
| S造2階建て住宅 | 200㎡ | 7~10万円程度 | 2~3万円 | 9~13万円程度 |
| RC造住宅 | 250㎡ | 9~12万円程度 | 2~3万円 | 11~15万円程度 |
例えば、「木造2階建て・延べ120㎡・3LDK程度」の一般的な戸建住宅であれば、計算から適判申請代行までで7万~11万円程度が一つの目安になります。
一方、屋根形状や外皮形状が複雑、吹抜けが多い、断熱仕様が複数ある、太陽光発電を評価する、設計途中で仕様変更が発生するといった案件では、再計算や図面修正により追加費用が発生することがあります。
なお住宅は、外皮・一次エネルギーとも仕様基準を使用する場合など、省エネ適判を省略できます。
共同住宅・アパート・マンションの省エネ計算費用
共同住宅は戸建住宅と同じ住宅系建築物ですが、費用の考え方が大きく異なります。
理由は単純で、住戸数が増えるほど計算対象が増えるからです。
共同住宅では住戸ごとの外皮性能を確認するとともに、住宅全体の一次エネルギー消費性能を扱います。国土交通省の省エネ適判様式でも、共同住宅について住戸数、外皮性能、住宅全体の一次エネルギー消費量などを記載する仕組みになっています。
一般的な代行料金では、共同住宅は5戸未満で5万~10万円、5~10戸で10万~20万円、10~30戸で20万~40万円という価格帯です。
| 共同住宅の例 | 規模 | 計算代行費目安 | 適判申請代行 | 合計目安 |
|---|---|---|---|---|
| 木造アパート | 4戸・2階・250㎡ | 5~10万円 | 2~3万円 | 7~13万円 |
| 木造アパート | 8戸・2階・450㎡ | 10~20万円 | 2~3万円 | 12~23万円 |
| S造共同住宅 | 12戸・3階・700㎡ | 15~30万円程度 | 2~3万円~ | 17~33万円程度 |
| RCマンション | 20戸・5階・1,500㎡ | 20~40万円程度 | 2~3万円~ | 22~43万円程度 |
| RCマンション | 40戸・8階・3,000㎡ | 50万円~65万円 | 5~10万円~ | 55~75万円程度 |
同じ1,000㎡でも、10戸しかないマンションと30戸あるワンルームマンションでは計算量が違います。また、全住戸がほぼ同じプランなのか、角住戸、中住戸、最上階、1階住戸など多数の住戸タイプが存在するのかでも金額が変わります。
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非住宅の省エネ計算・適判代行費用
事務所、店舗、飲食店、ホテル、病院、福祉施設、学校、工場、倉庫などは非住宅として計算します。
住宅では外皮性能と一次エネルギー消費性能の双方が省エネ基準の対象ですが、非住宅では一次エネルギー消費性能基準への適合を確認します。省エネ適判では、空調、換気、照明、給湯、昇降機などの設備仕様と計算内容の整合性が審査されます。
一般的には「モデル建物法」や「標準入力法」が使用されます。
一般的な料金相場では、モデル建物法の場合、300㎡以下で5万~8万円、300~1,000㎡で7万~15万円、1,000~2,000㎡で12万~25万円程度という価格です。具体的な建物に置き換えてみましょう。
| 非住宅の例 | 延べ面積 | 計算方法の例 | 計算代行費目安 | 適判申請代行 | 合計目安 |
|---|---|---|---|---|---|
| 小規模事務所 | 200㎡ | モデル建物法等 | 5~8万円 | 2~3万円 | 7~11万円 |
| コンビニ・物販店舗 | 250㎡ | モデル建物法等 | 5~8万円 | 2~3万円 | 7~11万円 |
| 事務所ビル | 800㎡ | モデル建物法 | 7~15万円 | 2~3万円 | 9~18万円 |
| 飲食店 | 800㎡ | モデル建物法 | 7~15万円程度 | 2~3万円 | 9~18万円程度 |
| ビジネスホテル | 1,500㎡ | モデル建物法 | 12~25万円 | 2~3万円~ | 14~28万円程度 |
| 福祉施設 | 1,500㎡ | モデル建物法 | 12~25万円 | 2~3万円~ | 14~28万円程度 |
| 工場・倉庫 | 1,000㎡ | モデル建物法 | 5万円前後~ | 2~3万円 | 8万円前後~ |
工場や倉庫は、事務所・ホテルなどと比べると設備の評価対象が少なくなるケースがあり、料金を低く設定している代行会社があります。反対に、病院、ホテル、福祉施設、複合用途建築物などは設備構成や用途が複雑になりやすく、同じ延べ面積の工場や倉庫より計算費が高くなる場合があります。
省エネ計算の費用が高くなりやすい建物
同じ床面積でも、見積金額は同じにはなりません。省エネ計算代行会社の公開料金を見ると、建物形状、設備仕様、用途、住戸タイプ数、再計算の有無などによって料金が変動すると明記されています。
例えば500㎡の事務所でも、矩形に近い建物で一般的なパッケージエアコンを使用する案件と、用途が複数あり、空調方式も複数、全熱交換器や太陽光設備まで評価する案件では作業量が違います。
共同住宅でも同様です。10戸すべて同じ間取りのアパートと、10戸すべて形状の異なるデザイナーズマンションでは、外皮拾いから入力までの作業量が大きく異なります。
そのため、省エネ計算の見積りでは延べ面積だけではなく、用途・階数・構造・住戸数・住戸タイプ・設備内容まで伝えることで、より正確な金額を出してもらいやすくなります。
住宅・共同住宅・非住宅の省エネ適判費用まとめ
最後にもう一度整理します。
| 建物 | 具体例 | 計算+申請代行の目安 | 費用を左右するポイント |
|---|---|---|---|
| 戸建住宅 | 木造2階・120㎡ | 7~11万円程度 | 面積、外皮形状、設備、太陽光 |
| 戸建住宅 | S造・RC造・200㎡超 | 9~15万円程度 | 面積、構造、外皮形状 |
| 共同住宅 | 4戸アパート | 7~13万円程度 | 戸数、住戸タイプ |
| 共同住宅 | 8戸アパート | 12~23万円程度 | 戸数、共用部 |
| 共同住宅 | 20戸マンション | 22~43万円程度 | 戸数、住戸形状、共用部 |
| 非住宅 | 250㎡事務所 | 7~11万円程度 | 用途、設備 |
| 非住宅 | 800㎡事務所・店舗 | 9~18万円程度 | 面積、設備、用途数 |
| 非住宅 | 1,500㎡ホテル・福祉施設 | 14~28万円程度 | 空調、給湯、換気、用途 |
| 非住宅 | 工場・倉庫 | 8万円前後~ | 空調範囲、設備内容 |
省エネ計算を外注するときに最も注意したいのは、「計算料金だけを比較しないこと」です。
計算書を作って終わりなのか、省エネ適判の計画書まで作成するのか、登録省エネ判定機関への申請まで行うのか、質疑対応まで含まれるのか。それによって最終的な費用も設計者側の作業量も大きく変わります。
省エネ計算、住宅・共同住宅・非住宅の省エネ適判、審査機関への申請代行までまとめて外注したい場合は、図面を添付して見積りを依頼することで、建物に合わせた正確な費用を確認できます。
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