「非空調コア部」をご存知ですか。モデル建物法を活用して、省エネ性能の計算をされた方の多くが、「非空調コア部の入力が分かりづらい」と感じることだと思います。
この記事を読むと、以下の内容を知ることができます。
・非空調コア部とは何なのか
・計算書への入力方法はどのようのするのか
非空調コア部をマスターして、計算書の作成を省力化しましょう。
非空調コア部とは
非空調コア部とは、「各階で平面上の同一位置にある非空調部分」を指します。
図示すると、このようになります。
事務所ビルでいうと、一般的に以下のような部分が非空調コア部に該当します。
・EVの昇降路の部分
・避難階段の部分
・各階で同一位置にあるトイレ
また、上下階が無い部分の非空調部分は、「非空調コア部」に該当します。
・平屋建ての建物の非空調の物置
・下がピロティとなっており、最上階まで同一位置にある非空調のトイレ
建物のプランによって、非空調コア部が多く存在する建物があれば、非空調コア部が全く存在しない建物も存在します。
非空調コア部を入力する理由
ではなぜ、モデル建物法の計算において、非空調コア部を入力する必要があるのでしょうか。その理由は、”建物をモデル化”することにあります。
厳密は少し異なりますが、下の図のようなイメージです。
このように”建物をモデル化”する過程で、ペリメータゾーン(外気の影響を受けやすい建物の外側部分)の空調負荷を設定するために、非空調コア部の入力が必要となります。
非空調コア部を入力する階
非空調コア部とは、「各階で平面上の同一位置にある非空調部分」であることをご説明しました。
モデル建物法の計算上では、“代表的な階”を設定し、その階において、
・非空調コア部の長さ
・非空調コア部の方位
以上の2つの要素を入力するルールとなっています。
非空調コア部の入力を行う、”代表的な階”を決定する方法は、以下のとおりです。
高い開放性を有する部分を除いた床面積が最大の階=非空調コア部の入力を行う階
ここでいう、「高い開放性を有する部分」というのは、以下の2つの条件を満たす部分となります。
・常時外気に開放された部分を有していること
・開放された部分の面積がその部分の床面積の1/20以上あること
床面積への参入が必要なバルコニーや、自動車車庫として利用しているピロティなどが、「高い開放性を有する部分」に該当します。
“常時外気に開放された部分”を有することが条件であるため、建具を開くことによって、床面積の1/20以上の開口面積を確保できても、「高い開放性を有する部分」には該当しません。ご注意ください。
非空調コア部の長さ
非空調コア部を入力するための2つの要素である
・非空調コア部の位置
・非空調コア部を入力する階
が定まったら、いよいよ非空調コア部の入力ができます。まずは、非空調コア部の長さを入力しましょう。ルールは以下のとおりです。
・非空調コア部の外周部の長さを算定する
・外周長さは外壁芯の長さとする
・非空調コア部の各部分の外周長さを合計する
これを図示すると、このようになります。
非空調コア部の入力をする階において、全ての非空調コア部の外周長さを合計した値が、「非空調コア部の長さ」となります。
この際、非空調コア部の各部分の外周長さは、“方位別で算定”しておくことをお勧めします。また、後述する方位とは異なり、非空調コア部の外周長さは、
各方位の非空調コア部の外周長さの合計
となることにご注意ください。
非空調コア部の方位
まずは、モデル建物法における方位のとり方をご紹介します。基準は真北となり、方位のとり方は表のとおりです
方位 | 範囲 | 備考 |
北 | 真北±45° | 北東・北西の方位は「北」とする。 |
東 | 真東±45° | 南東の方位は「東」とする。 |
西 | 真西±45° | 南西の方位は「西」とする。 |
南 | 真南±45° |
非空調コア部の方位を決定する方法は、以下のとおりです。
非空調コア部の外壁面積が最も大きい方位=非空調コア部の方位
外壁面積は、「外周長さ×階高」で算定します。
つまり、非空調コア部を入力する階の階高が、全て同一である場合、非空調コア部の外周長さが最も大きい方位が、「非空調コア部の方位」となります。
最上階など、階高が各所で異なる場合、非空調コア部の外壁面積を方位別で算定する必要があります。
まとめ
非空調コア部の概念と、計算時の入力方法について解説しました。要点は以下のとおりです。
・非空調コア部とは「各階共通の位置にある非空調部分」
・上下階が存在しない非空調部分は非空調コア部となる
・高い開放性を有する部分を除いた床面積が最大の階の非空調コア部を入力する
・非空調コア部の外周長さは、各方位の合計値を入力する
・非空調コア部の方位は、最も外壁面積が大きい方位を入力する
非空調コア部をマスターして、計算書の作成を省力化しましょう。