「CASBEE-ウェルネスオフィス」は、
一般財団法人住宅・建築SDGs推進センター(IBECs)が開発した、
「オフィスワーカーが知的生産性向上を健康な状態で実現する」 ことを
目的とした評価ツールです。
建物利用者の健康性、快適性の維持・増進を支援する建物の仕様、
性能、取組みを評価します。
ワーカーの健康性、快適性に直接的に影響を与える要素だけでなく、
知的生産性の向上に資する要因や、安全・安心に関する性能についても評価します。
下記のような課題を持っている場合に
「CASBEE-ウェルネスオフィス」を活用することができます。
- 保有物件の室内住環境性能を客観的な指標として捉えたい
- ESG投資やSDGs(持続可能な開発目標)の観点から、健康・快適な居住空間に関する付加価値で保有物件を差別化したい
CASBEEウェルネスオフィス評価認証では、
「CASBEE-ウェルネスオフィス」の評価マニュアルおよび
評価ツールを用いて評価された結果を用いて、
第三者が審査し評価結果が的確であることを認証します。
評価対象建物
「CASBEEウェルネスオフィス評価認証」は、オフィスビルを評価対象としています。
複合用途ビルの場合は、オフィス用途の部分を対象として評価を行います。
設計段階・運用段階のいずれの段階でも評価が可能です。
評価パターンと活用シーン
CASBEE-ウェルネスオフィスは、
執務者や利用者の健康性・知的生産性に対して直接的に評価は行わず、
向上を目指した取り組み内容をハード・ソフト面で評価します。
評価基準
CASBEE-ウェルネスオフィスは、
全ての評価項目をレベル1~5の5段階で評価します。
評価結果表示方法
1) 総合評価
①「★」表示(5段階)
②点数表示(100点満点)
③ランク表示(S・A・B+・B-・C)
の3つで表示します。
2) 性能評価
性能評価では「健康性・快適性」、「利便性」、「安全性」に関する
項目のみを抽出し、
その抽出された平均評価点のみが表示されます。
3) 項目別評価
大項目区分である、基本性能(QW1:健康性・快適性、QW2:利便性、QW3:安全性)、
運用管理(OM)、プログラム(PR)について、レーダーチャートで表されます。
具体的な採点基準
採点基準は大項目として、
『基本性能』・『運用管理』・『プログラム』の3項目となっており、
『基本性能』は中項目として
「健康性・快適性」、「利便性」、「安全性」に分けられます。
大項目の具体的な内容を見ていきましょう。
(1)基本性能
大項目「基本性能」は、『健康性・快適性』・『利便性』・『安全性』の
3つの中項目に分かれています。
健康性・快適性
【空間・内装】・【音環境】・【光環境】・【熱・空気環境】・
【リフレッシュ】・【運動】の6つの評価要素があります。
具体的には「知的生産性を高めるワークプレイス」や、
「室内の騒音レベル」、「室温制御」、「トイレの充足性・機能性」といった、
ワーカーにとっても身近な労働環境を重視した項目となっています。
評価要素【空間・内装】
『レイアウトの柔軟性』・『知的生産性を高めるワークプレイス』・
『内装計画』・『広さ』・『外観デザイン』の5項目で評価されます。
評価要素【音環境】
『室内の騒音レベル』・『吸音性能』の2項目で評価されます。
【光環境】
『自然光の導入』・『グレア対策』・『照度』の3項目で評価されます。
【熱・空気環境】
『空調方式の可変・増設性』・『室温制御』・『温度制御』・『換気制御』の
4項目で評価されます。
【リフレッシュ】
『オフィスからの眺望・自然とのつながり』・『室内の植栽・自然とのつながり』・
『室外の植栽・自然とのつながり』・『トイレの充足性・機能性』・
『給排水設備の設置自由度』・『リフレッシュスペース』・
『食事のための空間』・『分煙対応、禁煙対応』の8項目で評価されます。
【運動】
『運動促進・支援機能』・『階段の位置・アクセス表示』の2項目で評価されます。
利便性
【移動空間・コミュニケーション】・【情報通信】の2つの評価要素があります。
具体的には『EV利用の快適性』や『打ち合わせスペース』、
『高度情報通信インフラ』といった現在の私たちが働く上で
欠かせない設備が整っているかを評価する要素となります。
【移動空間・コミュニケーション】
『動線における出会いの場の創出』・『EV利用の快適性』・
『バリアフリー法への対応』・『打ち合わせスペース』の4項目で評価されます。
【情報通信】
『高度情報通信インフラ』の1項目での評価となります。
安全性
【災害対応】・【有害物質対策】・【水質安全性】・【セキュリティ】の
4つの評価要素があります。
具体的には『耐震性』、『災害時エネルギー供給』や
『ホルムアルデヒド、VOCなどに配慮した材料の使用』といった
安全性と健康につながる重要な評価要素となります。
【災害対応】
『耐震性』、『災害時エネルギー供給』の2項目で評価されます。
【有害物質対策】
有害物質対策として、
化学汚染物質による空気質汚染を回避するための対策と、
環境影響を及ぼす可能性のある化学汚染物質の使用削減について評価されます。
有害物質としては、ホルムアルデヒドや
VOCに配慮されている材料の使用が評価のポイントとなります。
【水質安全性】
運用段階にて水質悪化に対する予防的措置について評価されます。
水質安全対策は、ステンレス管の使用や中央監視盤に
故障警報が表示されるかなどが評価されます。
【セキュリティ】
防犯対策を実施しているかが評価されます。
入退館管理システム設置の有無や、
窓などにセンサー類(人感センサーなど )の設置の有無といった
防犯対策の実施が評価されます。
(2) 運営管理
運営管理は、【維持管理計画】・【満足度調査】・【災害時対応】の
3つの評価要素に分かれています。
【維持管理計画】
『維持管理に配慮した設計』・『維持管理用機能の確保』・
『維持保全計画』・『維持管理の状況』・『中長期保全計画の有無と実効性』の
5項目で評価されます。
【満足度調査】
『満足度調査の定期的実施』の1項目で評価されます。
『満足度調査の定期的実施』は、オフィス環境に関して、
建物の使用者の意見を吸い上げ、次の改善に反映されているかについて
評価される項目です。
【災害時対応】
『BCP計画の有無』・『消防訓練』・『AEDの設置』の3項目で評価されます。
『BCP計画の有無』は、オフィスを利用する組織と
ビル運営のBCP計画の有無、そのハードとマネジメントについて評価されます。
(3) プログラム
大項目、「プログラム」は、『メンタルヘルス対策・医療サービス』・
『社内情報共有インフラ』・『健康推進プログラム』の評価項目で評価されます。
『健康促進プログラム』は、オフィスを利用する組織と
ビル運営の取り組みの両方で評価されます。