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省エネ計算業務は、建築物や施設の設計段階において重要な役割を果たします。しかし、専門的な知識が必要なため、多くの企業では外注を選択しています。しかし、「見積り費用は適正なのか?」「何を基準に判断すればいいのか?」と疑問を抱えることも少なくありません。本記事では、省エネ計算業務を外注する際の見積りポイントと価格相場を解説します。
省エネ計算業務とは?
省エネ計算業務とは、建築物の断熱性能や設備効率を計算し、エネルギー消費量を評価する業務です。
具体的には、次のような内容が含まれます。
・エネルギー使用量のデータ収集と分析
建物や施設のエネルギー使用状況を把握するため、電気・ガス・水道などの使用データを収集。
データを分析して無駄なエネルギー消費を特定し、省エネの改善ポイントを提示。
・省エネ法や関連法規の対応サポート
省エネルギー法や地方自治体の条例などの法規制に基づき、必要な書類の作成や提出を代行。
報告書の作成やエネルギー管理者への助言を提供。
・省エネ設備導入のコンサルティング
高効率の設備(LED照明、空調機器、断熱材など)の導入を提案。
投資対効果(ROI)の分析を行い、設備更新計画をサポート。
・省エネ計画の策定と実行支援
施設や工場の省エネ目標を設定し、達成するための計画を立案。
現場での改善施策の実行や、エネルギー管理体制の構築を支援。
・補助金や助成金の申請代行
国や自治体が提供する省エネ関連の補助金や助成金について調査し、申請手続きの代行。
必要な書類作成や交渉を行い、顧客の負担を軽減。
代行会社にどこまでサポートしてもらうかで金額も大きく変わります。
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見積り時の主なチェックポイント
外注先に見積りを依頼する際には、以下のポイントを確認することが重要です。
業務範囲の明確化
外注先ごとに提供するサービス内容が異なるため、業務範囲をしっかり確認しましょう。以下の要素を含むかどうかを確認します。
・必要な省エネ計算(UA値、ηAC値計算、一次エネルギー消費量計算)
・提出資料作成(報告書、申請書類)
計算ツールの種類
使用する計算ツールも費用に影響します。無料のExcelベースのツールを使う場合と、有料の専用ソフト(HEAT20、EnergyPlusなど)を使う場合では工数が異なります。
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納期
短い納期で依頼すると費用が高くなる傾向があります。余裕を持ったスケジュールを組むことでコストを抑えられる場合があります。
修正対応
初回計算後の修正回数や追加作業の範囲を確認しておきましょう。「修正は2回まで無料」「再計算は別途費用発生」など条件が設定されているケースがあります。
サポート内容
省エネ計算に関する追加説明や申請手続きのサポートが含まれているかどうかも確認ポイントです。建築確認申請のための同行が必要な場合もあり、その有無によって費用は変わります。
外注費用の相場
省エネ計算の外注費用は、建物の種類(住宅・非住宅)、規模、設計の複雑さ、依頼する業者によって異なります。一般的な費用の目安です。
住宅の場合
外皮計算(UA値計算)
費用目安:15,000円~45,000円(税別)
建物の外皮(壁、屋根、床、窓など)の断熱性能を評価します。・一次エネルギー消費量計算
費用目安:15,000円~40,000円(税別)
建物全体のエネルギー消費量を算出し、省エネ基準への適合性を確認します。・セット料金
費用目安:60,000円~
外皮計算と一次エネルギー消費量計算の両方を含むパッケージです。
非住宅の場合
非住宅建築物の省エネ計算費用は、用途、規模、形状の複雑さなどにより大きく変動します。一例を示します。・事務所(延床面積340㎡、2階建て、形状普通)
費用目安:100,000円(税別)・福祉施設(延床面積1,000㎡、2階建て、形状普通)
費用目安:150,000円(税別)・工場(延床面積2,400㎡、平屋)
費用目安:40,000円(税別)
非住宅の省エネ計算には、「標準入力法」や「モデル建物法」などの評価方法があり、選択する方法によっても費用が変動します。
注意点
・規模や複雑さによる変動:建物の規模が大きい、形状が複雑、特殊な用途である場合、費用が増加する傾向があります。
・業者間の価格差:提供するサービスやサポート内容により、業者ごとに価格設定が異なります。複数の業者から見積もりを取り、比較検討することをおすすめします。
・追加費用の可能性:計算後の修正や再計算、申請代行などの追加業務が発生した場合、別途費用がかかることがあります。
具体的な費用は、建物の詳細な条件や依頼する業者によって異なります。正確な見積もりを得るためには、各業者に直接お問い合わせいただくことをおすすめします。
安すぎる見積りに注意
他社と比べて極端に安い見積りには注意が必要です。安価な場合、以下のリスクが考えられます。
・計算精度が低く、不適切な数値が算出される
・修正対応が有料で割高になる
・使用ソフトや手法が最新基準に準拠していない
信頼できる外注先を選ぶために、安易に価格だけで判断するのではなく、過去の実績や利用者の評判も参考にしましょう。
外注費用を適正に抑えるポイント
省エネ計算業務を外注する際に費用を抑えるためのポイントを紹介します。
業務内容の精査
必要な業務範囲を明確にし、不必要な作業が含まれていないか確認しましょう。「標準仕様のみ対応」「シミュレーションは不要」など条件を見直すことで費用を削減できます。
一括依頼
同時期に複数の建築プロジェクトがある場合、複数案件を一括で依頼するとボリュームディスカウントが適用されることがあります。
長期的なパートナー契約
外注先と長期契約を結ぶことで、単発依頼よりも割安な料金で対応してもらえるケースがあります。
他社比較
複数の業者から見積りを取得し、内容や価格を比較することで、適正な価格感を掴むことができます。業者によって得意な業務やサービス内容が異なるため、自社のニーズに合致した外注先を選びましょう。
まとめ
省エネ計算業務の外注費用は、業務内容や条件によって大きく異なります。見積りを依頼する際には、業務範囲や使用ツール、修正対応などの条件を確認し、複数の見積りを比較することが重要です。また、価格だけでなく、業者の実績やサポート内容も評価基準に含めることで、適正な外注先を選定できます。
適切な省エネ計算業務の外注は、プロジェクト全体のスムーズな進行やエネルギー効率の高い建物の実現に直結します。コストと品質のバランスを見極め、最適なパートナー選びを行いましょう。
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