近年、省エネ性能の高い建築物が大きな注目を集めています。
今回は、省エネ性能の1つである一次エネルギー消費量について解説します。
この記事を読むと、一次エネルギー消費量とは何か?
一次エネルギー消費量の計算が必要な手続きや、
計算で評価できる設備について、理解することができます。
最後までご覧いただけますと、嬉しいです。
一次エネルギー消費量とは
一次エネルギー消費量とは、
1年間で使われている電気やガスなどのエネルギー消費を数値化したものです。
一次エネルギー消費量は、主に以下の6つの項目に分類されます。
・空調設備(暖房・冷房)のエネルギー消費量
・換気設備のエネルギー消費量
・給湯設備のエネルギー消費量
・照明設備のエネルギー消費量
・昇降機のエネルギー消費量 ※非住宅建築物のみ
・家電・調理器具などのエネルギー消費量
これらは、建築物の用途、計画される地域や床面積、
設置する設備などによって数値が変わります。
また、一次エネルギー消費量の評価においては、
太陽光発電などによる創エネルギーも評価の対象とすることができます。
太陽光発電によって発電した電気を自己消費することで、
一次エネルギー消費量を減らすことに繋がります。
一次エネルギー消費量の計算が必要な手続き
一次エネルギー消費量の計算が必要な手続きには、
以下のようなものがあります。
・住宅性能評価
・フラット35
・長期優良住宅
・低炭素住宅
・BELS(ZEH)
上記のような申請手続きにより、評価書や認定書を取得したい場合、
一次エネルギー消費量の計算が必要になります。
中でも近年、数が増加している手続きは「BELS(ベルス)」になります。
BELSでは、図面審査をした建築物の一次エネルギー消費量を、
評価書やプレートにより表示をすることができます。
年間のエネルギーの収支をゼロにすることを目指す建築物である
「ZEH(ゼッチ)」や「ZEB(ぜぶ)」であることも、
BELS評価書ににより表示をすることができます。
一次エネルギー消費量の計算方法
一次エネルギー消費量の計算方法は、
以下の式により計算することができます。
一次エネルギー消費量
= 空調設備のエネルギー消費量 + 換気設備のエネルギー消費量
+ 給湯設備のエネルギー消費量 + 照明設備のエネルギー消費量
+ 家電などのエネルギー消費量 ー 太陽光発電などによるエネルギー消費の削減量
計算対象となる建築物を対象に、
上記の計算式から導き出される数値のことを
「設計一次エネルギー消費量」といいます。
一方、国が基準として定めるエネルギー消費量もあります。
それを「基準一次エネルギー消費量」と言います。
建築物の省エネ性能である一次エネルギー消費量は、
設計一次エネルギー消費量の、
基準一次エネルギー消費量に対する比率で評価をします。
この値を「BEI(びーいーあい)」と言います。
BEI = 設計一次エネルギー消費量 / 基準一次エネルギー消費量
BEIを計算する方法は、住宅と非住宅のそれぞれで方法が異なります。
専用のプロブラムで計算することができます。
一次エネルギー消費量の計算で性能を評価できる設備
一次エネルギー消費量の計算において、
性能を評価できる設備は、以下のとおりです。
・空調設備(冷暖房設備)
・換気設備
・給湯設備
・照明設備
・昇降機 ※非住宅建築物のみ
・太陽光発電設備・コージェネレーション設備など
家電や調理器具による一次エネルギー消費量は、
建物の規模や用途により自動的に設定されるため、
効率や消費電力といった設備機器の性能を評価することはできません。
省エネ性能の高い建築物とするためには、
基準一次エネルギー消費量より、
設計一次エネルギー消費量を少なくする必要があります。
性能の良い設備を導入したり、
建物の断熱性能を向上させる、といった手法が、
設計一次エネルギー消費量を減らすことにつながります。
例えば、照明設備の場合、
白熱電球よりも効率の良いLEDを採用することで、
一次エネルギー消費量を削減することができます。
通常のガス給湯器ではなく、
エコキュートやエコジョーズを採用することも効果があります。
まとめ
一次エネルギー消費量について解説しました。
要点は、以下のとおりです。
・一次エネルギー消費量は、電気やガスなどのエネルギー消費を数値化したもの
・太陽光発電などの創エネルギーにより、エネルギー消費を削減できる
・一次エネルギー消費量の評価には、「BEI(びーいーあい)」を用いる
・空調などの設備の性能を評価できるが、家電や調理器具の性能は評価できない
一次エネルギー消費量の計算の需要は、
これからさらに増加していきます。
基本的事項の要点を押さえて、
一次エネルギー消費量の計算ができるようになりましょう。