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モデル建物法を活用した計算において、
「様式C-1 空調熱源入力シート」で入力する能力値はご存じですか?
出典:国立研究開発法人 建築研究所「建築物のエネルギー消費性能に関する技術情報」【 建築物のエネルギー消費性能に関する技術情報 (kenken.go.jp) 】※5.2 サンプル1
この記事を読むと、以下の内容について知ることができます。
- 計算書で入力をする性能値の種類
- 空調熱源の種類による性能値の違い
- 申請において、設計図面に記載が必要な事項
モデル建物法で入力をする空調熱源の性能値をマスターして、楽に申請手続きを突破しましょう!
空調熱源の性能値の種類
モデル建物法を活用した計算において、
「様式3-1 空調熱源入力シート」で数値を入力をする性能値は、3種類あります。
- 定格能力(冷暖房別)
- 定格消費電力(冷暖房別)
- 定格燃料消費量(冷暖房別)
それぞれの性能値について、簡単に解説します。
定格能力(冷暖房別)
“指定された条件下で空調熱源が発揮できる能力”のことを言います。
冷房時の定格能力と暖房時の定格能力の2種類が存在します。
- 定格冷房能力:指定条件下で空調機が発揮できる冷房の能力(どれだけ室内を冷やせるか)
- 定格暖房能力:指定条件下で空調機が発揮できる暖房の能力(どれだけ室内を暖められるか)
数値が大きいほど、広い空間を冷やしたり、暖めたりすることができます。
定格消費電力(冷暖房別)
“指定された条件下で空調熱源が消費する電力”のことを言います。
定格能力と同様、冷房時と暖房時の2種類の定格消費電力が存在します。
この数値が大きいほど、電力の使用量が多いことになります。
定格燃料消費量(冷暖房別)
“指定された条件下で空調熱源が消費する燃料”のことを言います。
「ガスや灯油などを指定条件下でどれだけ消費するか」という性能値となります。
前述の2種類の性能値と同様、冷房時と暖房時の2種類の定格燃料消費量が存在します。
この数値が大きいほど、ガスや灯油など使用量が多いことになります。
定格能力の値がが同じである複数の空調熱源がある場合、
定格消費電力や定格燃料消費量が小さい空調熱源ほど、冷暖房の効率が良いと言えます。
空調熱源の種類による性能値の違い
建築物に設置する空調熱源の種類によって、
今回紹介した3つの性能値の内、どれを入力するかどうかが変わります。
これらの性能値の入力ルールは、「モデル建物法 入力マニュアル」で確認することができます。
このマニュアルの内、表3-2-2(P.77~)に
空調熱源の種類別で、入力が必要な能力値とその根拠がまとめられています。
出典:非住宅建築物に関する省エネルギー基準に準拠したプログラム「モデル建物法 入力マニュアル」
代表的な空調熱源の種類と入力する性能値を以下にまとめます。
空調熱源の種類 | 入力する性能値 | 性能値の根拠 |
パッケージエアコンディショナ (空冷式) | 定格能力(冷暖房) 定格消費電力(冷暖房) | 「JIS B 8616」等の規格に基づく値 |
ガスヒートポンプ冷暖房機 | 定格能力(冷暖房) 定格消費電力(冷暖房) 定格燃料消費量(冷暖房) | 「JIS B 8627」等の規格に基づく値 |
ルームエアコンディショナ | 定格能力(冷暖房) 定格消費電力(冷暖房) | 定格能力(冷暖房) 定格消費電力(冷暖房) |
電気式ヒーター | 定格能力(暖房) 定格消費電力(暖房) | 電気を熱エネルギーに変えて利用する暖房器具 |
中には、暖房のみの性能値を入力する空調熱源も存在します。
設計図面に記載が必要な情報
「様式C-1 空調熱源入力シート」の入力に関連して、
設計図面に記載が必要な情報は、以下の3つとなります。
- 空調熱源の配置(設置場所・台数)
- 空調熱源の性能値(定格能力・定格消費電力・定格燃料消費量)
- 性能値の根拠となる規格(JIS規格など)
設計図面の記載例をご紹介します。
出典:国土交通省 建築物省エネ法について 資料ライブラリー「設計・監理資料集【令和2年度作成】」
この図で示すように、「様式C-1 空調熱源入力シート」で入力する情報は、
一通り設計図面にも記載をすることになります。
この他、性能値の根拠となる規格についても、設計図面に記載が必要となります。
まとめ
今回は、モデル建物法で数値の入力をする空調熱源の性能値について紹介しました。
- 空調熱源の性能値の種類は3種類
- 空調熱源の種類によって計算書に入力する性能値が異なる
- 計算書に入力した情報と性能値の根拠を設計図面に記載する
次回は、空調機器の配置に関する入力方法の要点について解説します。
お楽しみに!