住宅の冷暖房の評価方法は?よく使う冷暖房設備の入力項目を省エネ判定員が解説

住宅の一次エネルギー消費量の計算をしたことはありますか?

この計算において、

冷暖房設備は一次エネルギー消費性能に大きな影響を与えます。

今回は、一次エネルギー消費性能に大きな影響を及ぼす冷暖房設備について、

計算プログラム上の入力方法の要点を解説します。

要点を押さえてストレスなく省エネ計算をできるようになりましょう!

冷暖房設備が一次エネルギー消費性能に及ぼす影響

まずは、下の図をご覧ください。

出典:省エネ計算演習講習会テキスト「戸建・木造軸組工法テキスト」

【 https://www.mlit.go.jp/common/001627113.pdf 】

これは、一次エネルギー消費量の計算結果の画面です。

「ざ」の枠の中、左側の数値が一次エネルギー消費量の設計値となっています。

この内、冷房設備と暖房設備のエネルギー消費量をご覧いただくと、

全体に占める割合が大きいことが確認できます。

  • 冷暖房設備の設計一時エネルギー消費量:27,196 MJ
  • 住宅全体の設計一次エネルギー消費量 :78,380 MJ
  • 全体に占める冷暖房設備の割合    :約35%

基準値(画像の右側の数値)に対して設計値が小さいほど、

一次エネルギー消費性能が高いことになります。

このため、全体に占める割合が大きい冷暖房設備において、

一次エネルギー消費量を下げることは、

効率的に性能向上につながる手段といえます。

冷暖房設備の入力項目

計算プログラム上で評価できるすべての暖房設備の評価項目は、

下の図のようになります。

出展:住宅のエネルギー消費と評価方法2023【木造戸建住宅版】

【 JSBC省エネテキスト_木造戸建住宅版_20231017_完.indd (mlit.go.jp) 】



これでは分かりづらいと思います。

上の図を簡単にまとめると、冷暖房設備の主な入力項目は2つとなります。

  • 冷暖房設備の種類
  • 冷暖房設備の性能

設計する住宅、計算する住宅の冷暖房設備について、

まずは2つの入力項目を確認できるようになりましょう。

まずは、冷暖房設備の種類を紹介します。

冷暖房設備は、住宅の部屋の区分(主たる居室・その他の居室)毎に入力します。

部屋の区分については、別の記事で解説する予定です。

計算上、よく使われる冷暖房設備は以下の通りです。

区分よく使われる設備の種類
暖房設備ルームエアコン、温水床暖房
冷房設備ルームエアコン

これらの設備の入力項目を押さえることで、

ほとんどの住宅の一次エネルギー消費量計算を実施することができます。

また、暖房設備については、1つの部屋に複数の機器が設置されることがあります。

このような場合、優先順位の高い暖房設備のみを評価することになります。

暖房設備の優先順位は、以下の表のとおりです。

優先順位暖房設備機器の種類
1暖房設備機器の種類
2電気ヒーター床暖房
3ファンコンベクター
4ルームエアコンディショナー付温水床暖房機
5温水床暖房
6FF暖房機
7パネルラジエーター
8ルームエアコンディショナー

例えば、LDKに温水床暖房とルームエアコンが設置されている場合、

暖房設備の計算上は温水床暖房のみを評価することになります。

冷暖房設備の性能

冷暖房設備が決まったら、あとは部屋の区分ごとに性能を入力すると、

評価は完了です。

先ほどご紹介した、よく使う冷暖房設備に関する性能は、以下の通りです。

冷暖房設備の種類評価できる性能
ルームエアコンディショナーエネルギー消費効率の区分
温水床暖房敷設率・上面放熱率・配管の断熱

冷暖房設備の種類ごとに、評価できる性能が変わることがご確認いただけます。

各冷暖房設備において評価できる性能は多岐にわたるため、別の記事でご紹介します。

まとめ

今回は、よく使う冷暖房設備の評価項目について解説しました。

  • 住宅の一次エネルギー消費量における冷暖房設備が占める割合は大きい
  • 冷暖房設備の評価項目は「種類」と「性能」の2種類
  • よく使う冷暖房設備は「ルームエアコン」と「温水床暖房」
  • 評価できる性能については、冷暖房設備の種類ごとに異なる

次回は、住宅の一次エネルギー消費量計算でよく使うルームエアコンについて

評価できる性能の入力方法について解説します。

お楽しみに!

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