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はじめに
「住宅性能表示制度」についてご存知でしょうか。
消費者が良質な住宅を安心して取得できるように、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に基づいて、第三者機関が住宅の性能について評価し、その「性能評価」を表示するしくみのことです。
評価する項目は大きく10の区分が設けられています。→詳しくはこちら
8回目の今回は「音環境」に関する内容についてご紹介します。
概要
「音環境」に関することでは、話し声や足音等の騒音の伝わりにくさについて評価します。
子供の飛び跳ね音や、走りまわる音がクレームの原因となることは多く、特に共同住宅等、異なる家族間での騒音問題はトラブルに発展することも考えられます。
そのため、主に下記3つの内容を確認します。
◇足音や物の落下音などの伝わりにくさ
◇話し声などの伝わりにくさ
◇騒音の伝わりにくさ
評価は4つの事項に分かれており、それぞれ等級等で表現します。
評価項目と等級
8ー1 重量床衝撃音対策:共同住宅のみ
以下2つのうち、いずれかを選択して評価・表示します。
◇重量床衝撃音対策等級
上の階の床から下の階の居室に伝わる重量床衝撃音(重量のある物の落下や、足音の衝撃音)を遮断する対策の程度を評価します。
重量床衝撃音の遮断性能を上げるためには、床の構造や構成方法の違いに応じて、以下の対策が必要です。
・床の構造躯体の厚さを増加
・床の重量化
・振動を抑えるような床の端部の取り付け方
・衝撃音を増幅させないような床仕上げ材の種類の選択
表示方法:等級1~5
◇相当スラブ厚(重量床衝撃音)
上の階の床から下の階の居室に伝わる重量床衝撃音の遮断の程度をコンクリート単板スラブの厚さに換算した場合のその厚さを評価します。
表示方法:記述
8ー2 軽量床衝撃音対策:共同住宅のみ
以下2つのうち、いずれかを選択して評価・表示します。
◇軽量床衝撃音対策等級
居室の上下階との界床の軽量床衝撃音(軽量の物の落下の衝撃音)を遮断する対策の程度を表示します。
軽量床衝撃音の遮断性能を上げるためには、重量床衝撃音の場合と同様、床の構造や構成方法の違いに応じて、以下の対策が必要です。
・床の構造躯体の厚さを増加
・衝撃音を増幅させない床仕上げ材の選択
表示方法:等級1~5
◇軽量床衝撃音レベル低滅量(床仕上げ構造)
居室の上下階との界床の仕上げ構造に関する軽量床衝撃音の低減の程度を表示します。
表示方法:記述
8ー3 透過損失等級(界壁):共同住宅のみ
居室の界壁の構造による空気伝搬音の遮断の程度を評価します。
空気伝搬音の遮断性能を上げるには、住宅や壁の構造や材料の構成方法の違いに応じて、以下の対策が必要です。
・壁の構造躯体の厚さ増加
・壁の重量化
・空気伝搬音を通しにくい複合構造の壁の選択
・界壁に隙間やコンセントボックスを造らない
・バルコニーや共用廊下に面する窓・換気口などから空気伝搬音が回り込まない
ただ、これらの内容を総合的に評価することは困難であるため、界壁に使用する構造と材料を評価対象として設定しています。
表示方法:等級1~4
8ー4 透過損失等級(外壁開口部)
居室の外壁に設けられた開口部に、方位別に使用するサッシによる空気伝搬音の遮断の程度を表示します。
一般的な住宅の場合は外皮に設けられた窓部分が、外部騒音の室内への侵入や室内騒音の外部への放射の弱点になりやすいです。
そのため、外壁の窓などに使用するサッシを対象とし、東西南北の方位別に評価を行います。
表示方法:等級1~3
まとめ
「性能評価」の「音環境」に関する内容についてご紹介しました。
騒音問題は戸建て住宅よりも共同住宅や長屋等、異なる家族間でのほうが深刻になりやすいため、4つのうち3つが共同住宅の基準になっています。
「音環境」に関する評価は必須項目ではありませんが、隣家や公園、幹線道路が近い場合に室内で音を気にせず快適に過ごすために、
また、閑静な住宅街では自分が加害者にならないために、性能を確保したいですね。
「性能表示制度」は任意の制度ですが、利用することで住宅の性能を理解し、安心して購入・生活することができます。
次回は「高齢者等への配慮」に関する内容をご紹介します。