「住宅性能表示制度」についてご存知でしょうか。
消費者が良質な住宅を安心して取得できるように、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に基づいて、第三者機関が住宅の性能について評価し、その「性能評価」を表示するしくみのことです。
評価する項目は大きく10の区分が設けられています。(詳しくはこちら)
3回目の今回は必須項目である「劣化の軽減」に関する内容についてご紹介します。
概要
住宅に使われている材料は、時間が経過するにつれて様々な影響を受けて、腐る、錆びるなど、劣化します。
「劣化の軽減」に関することでは、材料の劣化を軽減する(劣化の進行を遅らせる)ための対策がどの程度手厚く講じられているかを評価します。
ただ、住宅には様々な材料が使われており、建物の部位によっても求められる耐用期間が異なるため、これら全てにおいて総合的に評価を行うことは困難になります。
そこで、長期間に渡って建物を支えることが期待される
「構造躯体等に使用される材料の劣化を軽減する対策」について評価しています。
評価項目と等級
3ー1 劣化対策等級(構造躯体等)
構造躯体に使用する材料の交換等、大規模な改修工事を必要とするまでの期間を伸長するために必要な対策の程度を、以下のイ~チの8つの基準で評価します。
イ. 外壁の軸組等の防腐防蟻の基準
外壁の軸組等に耐久性の高い樹種が使用されているか、十分な断面寸法が確保されているか等を確認します。
ロ. 土台の防腐防蟻の基準
土台に耐久性の高い樹種が使用されているか、有効な薬剤処理が行われているか等を確認します。
ハ. 浴室・脱衣室の防水の基準
浴室や脱衣室の周囲の床や天井に防水上有効な措置が行われているかを確認します。
ニ. 地盤の防蟻の基準(必要な地域のみ)
防蟻に有効な基礎(べた基礎等)にしているか等を確認します。
ホ. 基礎の高さの基準
地面から基礎天端まで、床下からの湿気を軽減するために必要な高さが確保されているかを確認します。
ヘ. 床下の防湿・換気の基準
地面からの湿気を防ぐため、防湿コンクリートや換気口が計画されているかを確認します。
ト. 小屋裏の換気の基準
小屋裏に湿気が溜まるのを防ぐため、換気口が設置されているかを確認します。
チ. 構造部材等(建築基準法)の基準
イ~トの内容の他、建築基準法の基準を満たしているか確認します。
表示方法:等級1~3
建築基準法に定められた「チ」の基準を満たしたものが等級1です。「イ」~「チ」すべてを対策し、構造躯体が50~60年もつ程度の対策が行われているものが等級2、
75~90年もつ程度の対策が行われているものが等級3となります。
まとめ
「性能評価」の「劣化の軽減」に関する内容についてご紹介しました。
建築基準法を満たせば最低等級となるため、必須項目となっていますが、安心して長く住み続けるために、より高等級な家を目指したいですね。
「性能表示制度」は任意の制度ですが、利用することで住宅の性能を理解し、安心して購入・生活することができます。
次回は今回同様、必須項目の「維持管理・更新への配慮」に関する内容をご紹介します。