自家消費型太陽光とは?売電から“自家利用”に移行する時代へ

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はじめに

かつて太陽光発電といえば「売電による収益」が中心でしたが、電力の買取価格が年々下落している現在、注目されているのが「自家消費型太陽光発電」です。発電した電力を自社や自宅で直接使うことで、電気代削減と脱炭素の両立が可能になります。本記事では、自家消費型太陽光の仕組み、導入メリット、費用対効果、最新の補助金制度について詳しく解説します。

自家消費型太陽光発電とは

売電型との違い

従来の「売電型太陽光」は、発電した電気を電力会社に売ることで収益を得る仕組みでした。しかし、FIT(固定価格買取制度)の買取単価は年々下がり、現在では1kWhあたり10円前後まで低下しています。一方、「自家消費型」は、発電した電気をその場で自社施設や家庭で使う方式で、電気代単価(約30円/kWh)分を節約できるため、経済的なメリットがより大きくなっています。

仕組みと運用方法

自家消費型太陽光発電は、発電した電力を優先的に自分で使用し、余剰分のみを売電する仕組みです。発電量や消費電力のバランスを最適化するために、モニタリングシステムや蓄電池を併用するケースが増えています。また、企業では「ピークカット」や「デマンド抑制」にも有効で、電力コスト全体を抑えることが可能です。

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自家消費型太陽光の主なメリット

1,電気代を大幅に減少できる

昼間に発電した電力を自社で使うため、電力会社からの購入電力が減少します。特に電力使用量の多いオフィスビル・工場・店舗では、年間数十万円から数百万円の電気代削減効果が見込めます。また、電力単価が今後も上昇する見通しの中、自家消費比率を高めることは長期的なリスク回避にもつながります。

2,CO₂削減・環境経営に寄与

再生可能エネルギーを自家利用することで、直接的にCO₂排出量を削減できます。これにより、企業のESG経営やカーボンニュートラル宣言の実践にもつながります。ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)や環境認証(BELS、CASBEE)取得を目指す建物では、自家消費型太陽光の導入が評価項目の加点対象となる場合もあります。

3,災害時の電力確保

蓄電池を併用することで、停電時にも建物内の一部設備に電力を供給できます。災害時の事業継続(BCP)や家庭の防災対策としても非常に有効です。

導入コストと回収年数の目安

自家消費型太陽光の導入費用は、システム容量や設置条件によって異なりますが、おおよその目安は以下の通りです。

・住宅用(4〜6kW):約120〜150万円
・事業用(10〜50kW):約200〜800万円
・産業用(100kW以上):1000万円〜

電気代削減効果を踏まえると、平均して「6〜9年程度で投資回収」が可能です。また、補助金を活用すればさらに短期間での回収が見込めます。

補助金・支援制度を活用しよう

国の補助金(太陽光単体ではなし)

住宅用太陽光発電単体への国の補助金は、既に終了しておりしております。
ただし、「住宅をZEH水準にする」などの省エネ+創エネパッケージとしての補助金があります。
例えば、子育てグリーン住宅支援事業では新築で ZEH水準住宅の場合40万円/戸などの例があります。また、戸建住宅ZEH化等支援事業(新築戸建てZEH化)も公募中です。

自治体の補助金

太陽光発電の導入に関して最も活用しやすいのが各自治体が実施する補助制度です。自治体ごとに補助額、対象機器、申請条件などが異なるため、住んでいる地域の制度を確認することが重要です。

自治体太陽光補助内容蓄電池補助内容主な条件・特徴
東京都新築:12万円/kW(上限36万円)
既存:15万円/kW(上限45万円)
蓄電池:10万円/kWh前後契約前申請・上乗せ補助あり
神奈川県7万円/kW(上限70万円)※太陽光+蓄電池同時導入15万円/台同時導入必須
埼玉県7万円/kW(上限35万円)※受付終了10万円/件市町村補助が豊富
千葉県5万円/kW(PPA/リース限定)12万円/台購入対象外
大阪府2万円/kW(上限10万円)1万円/kWh(上限5万円)市単位補助
愛知県太陽光+蓄電池 最大46万円蓄電池15万円/台市町村制度が中心
北海道2万円/kW(上限13.9万円)2万円/kWh(上限8万円)道の統一補助なし
福岡県2万円/kW(上限10万円)2.5万円/kWh(上限10万円)県は補助なし
市町村制度が中心
広島県10.5万円/kW(上限52.5万円)市による制度県統一補助なし
市町村制度が中心
宮城県2万円/kW(上限8万円)2万円/kWh(上限8万円)市町村中心
沖縄県一律10万円市町村依存県制度は限定的

※各自治体ホームページをご確認ください

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導入時の注意点

自家消費比率の最適化

発電量が消費量を上回ると、余剰電力が売電に回ります。効率的な投資にするためには、需要電力量と発電能力をバランスさせることが重要です。

設備管理とモニタリング

発電状況を可視化できるモニタリングシステムを導入することで、発電ロスや機器異常を早期に発見できます。また、年間の発電データを蓄積することで、CO₂削減量の報告や制度申請にも活用可能です。

まとめ:売電から“自家利用”へ、

かつては「太陽光=売電ビジネス」というイメージが主流でしたが、現在は「自分で創って自分で使う」時代へと完全にシフトしています。自家消費型太陽光は、電気代削減・脱炭素・防災対策という3つの価値を同時に実現できる手段です。補助金やPPAモデルの活用により、導入ハードルは確実に下がっています。これからの建築・経営において、太陽光発電は単なる設備ではなく、「エネルギー戦略の中核」となる存在です。

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