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カーボンニュートラル時代に求められる「低炭素建築」
地球温暖化対策として、建築分野におけるCO₂削減の重要性がますます高まっています。国は2030年までに新築建築物の平均で「ZEH・ZEB水準」を達成することを目標に掲げ、その中間ステップとして「低炭素建築物」の普及を推進しています。本記事では、低炭素建築物の認定制度の概要、取得メリット、そして具体的な申請手続きを分かりやすく解説します。
低炭素建築物とは
低炭素建築物(Low-carbon Building)とは、国土交通省が定める「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律(建築物省エネ法)」に基づき、省エネ基準を上回る性能を有し、かつCO₂排出抑制に資する設備・設計を採用した建物を指します。住宅・非住宅を問わず、所定の基準を満たすことで「低炭素建築物認定」を受けることができます。
低炭素建築物に関する記事
認定基準の概要
認定を受けるためには、省エネ性能に加えて、低炭素化に資する以下のような設備や設計を導入する必要があります。
| 区分 | 具体的要件 | 代表的な設備・仕様 |
| エネルギー消費性能 | 省エネ基準に比べ一次エネルギー消費量を10%以上削減 | 高効率給湯器・断熱性能の向上 |
| CO₂排出抑制 | 再エネ利用・未利用エネルギー活用 | 太陽光・地中熱・排熱回収設備 |
| ヒートアイランド対策 | 屋上緑化・高反射率塗装の採用 | 遮熱塗料・グリーンルーフ |
| ライフサイクルCO₂低減 | 長寿命化・再利用設計の採用 | 再生材・木造化推進 |
つまり、単に断熱性能を高めるだけでなく、「再エネ活用」や「長寿命化設計」などを組み合わせて、総合的にCO₂排出量を抑制する建築が評価されます。
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低炭素建築物認定を取得するメリット
低炭素建築物として認定されると、さまざまな経済的・制度的メリットがあります。
| メリット項目 | 内容 | 想定効果 |
| 住宅ローン減税の拡充 | 認定住宅は控除期間13年・控除額最大455万円 | 一般住宅より約60万円優遇 |
| 登録免許税の軽減 | 登記時の税率が0.15%→0.10%に減額 | 固定資産登記時の負担軽減 |
| 固定資産税の減額 | 新築住宅に対して3年間(長期優良住宅は5年間)1/2減額 | 年間数万円の軽減 |
| 補助金・助成金の対象 | 住宅省エネ補助金や地方自治体補助の対象 | リフォーム費用の軽減 |
これらのメリットにより、初期投資の一部を税制優遇や補助金で回収できるほか、省エネ性能の高さから光熱費の削減効果も得られ、長期的なコストパフォーマンスが向上します。
認定取得の手続きの流れ
低炭素建築物の認定手続きは、主に設計段階で行います。以下のような流れで進みます。
① 設計図書・仕様書の準備
建築士が作成した設計図、断熱・設備仕様書などを準備します。
② エネルギー消費性能計算
住宅性能評価機関などで一次エネルギー消費量を算出し、省エネ基準との比較を行います。
③ 申請書提出
各自治体(建築主事)または登録評価機関に申請を行います。必要書類には「設計内容説明書」「省エネ計算書」「付属図書」などが含まれます。
④ 審査・認定
審査機関による書類・図面確認後、基準適合が認められれば「認定通知書」が交付されます。
⑤ 工事完了報告
竣工後、設計通りに施工されたことを証明する書類を提出します。
申請費用と期間の目安
| 区分 | 申請費用(目安・税込) | 審査期間 |
| 戸建住宅 | 5〜10万円 | 2〜4週間 |
| 共同住宅(1棟) | 10〜30万円 | 3〜6週間 |
| 非住宅建築物 | 20〜50万円 | 4〜8週間 |
【重要】審査機関については目安になります。実際に依頼する審査機関へお問い合わせ下さい。
費用や期間は建物規模・用途によって異なりますが、設計初期段階で申請を行うことでスムーズに認定を取得できます。
ZEH・BELSとの違い
低炭素建築物認定は、省エネ性能に加えて「CO₂排出削減」や「ヒートアイランド対策」も評価対象となる点が特徴です。ZEHやBELSと異なる視点からの環境性能認証であり、相互に補完し合う関係にあります。
| 制度名 | 主な目的 | 評価基準 | 特徴 |
| 低炭素建築物 | CO₂排出削減 | 一次エネルギー消費量・低炭素化要件 | 法的認定制度(建築物省エネ法) |
| ZEH/ZEB | エネルギー自給・削減 | 一次エネルギー消費量・再エネ活用 | 補助金・助成金と連動 |
| BELS | 省エネ性能の可視化 | BEI(建物エネルギー指標) | 星5段階で表示される評価制度 |
ZEBに関する記事はこちら
ZEHに関する記事はこちら
BELSに関する記事はこちら
まとめ:低炭素建築物認定で「環境価値」を資産に変える
低炭素建築物の認定は、単なる環境配慮ではなく、経済的なメリットや住宅価値の向上にも直結する制度です。特に今後の不動産市場では、「環境性能の高い住宅」が選ばれる傾向が強まっています。補助金・税制優遇の後押しもあり、認定取得のハードルは以前より低下しています。新築・リフォームを問わず、次世代型の“環境に優しい建築”を実現するための第一歩として、低炭素建築物認定の活用を検討してみてください。
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