ESG時代の建築設計 CO₂排出量をどう可視化するか

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建築設計にも求められる「環境の見える化」

企業活動においてESG(環境・社会・ガバナンス)への取り組みが重視される中、建築分野でも環境配慮の「可視化」が急速に求められています。特にCO₂排出量の定量的な把握は、建物の環境性能を評価する上で欠かせない指標です。本記事では、建築設計の段階でどのようにCO₂排出量を可視化し、ESG経営に貢献できるのかをわかりやすく解説します。

ESGと建築の関係

ESGの「E(Environment)」に該当する要素として、建築分野はエネルギー消費・資材選定・運用時の排出量削減が直結します。企業や自治体が保有する建物は、長期間にわたってエネルギーを消費するため、その環境負荷を“見える化”し、改善することがESG投資家や利用者からの信頼を得る鍵となります。

なぜCO₂排出量の可視化が必要なのか

建築におけるCO₂排出量の可視化には、次のような目的があります。

・設計段階での環境負荷を定量的に比較できる
・建物ライフサイクル全体での排出削減効果を把握できる
・環境認証(ZEB、BELS、CASBEE等)の取得に活用できる
・ESG報告書・統合報告書にデータを掲載できる

可視化は「環境経営の証拠」として機能し、企業の透明性を高める役割を果たします。

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CO₂排出量の可視化手法

建築設計段階で活用される主な可視化手法は以下の通りです。

手法名概要活用場面
LCA(ライフサイクルアセスメント)建物の設計・施工・運用・解体までのCO₂排出を定量評価設計段階での材料選定・比較検討
BIM(Building Information Modeling)連携建材・設備情報を3Dモデルで一元管理し、エネルギー分析と連動設計〜施工間の情報共有・シミュレーション
BEI(建築物エネルギー消費性能指標)一次エネルギー消費量を基準値と比較して数値化省エネ性能の表示・認証申請
CFP(カーボンフットプリント)製品や建材単位でのCO₂排出量を算出建材選定や企業の環境開示

これらの手法を組み合わせることで、設計段階から運用段階まで一貫した排出量管理が可能となります。

LCAによる建築物の環境影響評価

LCA(Life Cycle Assessment)は、建物が「どの段階で」「どれだけのCO₂を排出するか」を定量的に把握できる評価手法です。主に次の4段階で構成されます。

① 原材料の製造(例:コンクリート・鉄鋼・木材)
② 施工・輸送(建設機械や輸送時の燃料消費)
③ 使用・運用(空調・照明などのエネルギー消費)
④ 解体・廃棄(リサイクル・廃棄処理時の排出)

これらを定量化することで、設計者はCO₂排出量の“ホットスポット”を把握し、改善策を立案できます。

BIM×LCAでの設計段階の可視化

近年では、BIMモデルとLCAを連携させてCO₂排出量を自動算出する仕組みが広がっています。建材・設備ごとに埋め込まれた環境データを集計し、設計変更のたびに即座にCO₂排出量を再計算できるため、「環境を考慮した設計判断」がリアルタイムで可能となります。

この仕組みにより、設計者・施工者・施主が同じデータに基づいて議論でき、建築プロジェクト全体での環境配慮が標準化されつつあります。

可視化に利用できる主なツール

日本国内でも、建築のCO₂可視化を支援するツールやプラットフォームが整備されています。

ツール名提供機関特徴
OneClick LCAFinnish company / 国内導入多数BIM連携・国際基準対応のLCAツール
CASBEE-LCA一般財団法人 建築環境・省エネルギー機構(IBEC)国内基準に基づくLCA評価を実施可能
ecoCal建築研究所(BRI)住宅・非住宅のCO₂算出用無料ソフト

ESG報告・環境認証でのデータ活用

可視化されたCO₂データは、企業のESG報告書やサステナビリティレポートで活用されます。特に建設会社・デベロッパー・設計事務所は、以下のような指標に反映するケースが増えています。

・Scope1〜3排出量の算定(サプライチェーン全体)
・環境認証取得(ZEB、BELS、LEEDなど)
・グリーンボンド・サステナビリティリンクローンの評価基準

これにより、建築物単位の環境配慮が企業全体のESGスコア向上につながります。

今後の展望 デジタルと脱炭素の融合

今後の建築設計では、「デジタル技術×脱炭素」の融合が一層進むと考えられます。AIが設計段階でCO₂排出量を自動推定し、最適な構造・材料を提案する仕組みが開発されており、人間の経験則に頼らない“科学的な省エネ設計”が主流になるでしょう。

また、運用段階ではIoTセンサーを活用してエネルギー消費をモニタリングし、データをクラウドで共有することで、持続的な環境改善を図るモデルが普及しています。

まとめ CO₂の「見える化」が建築設計の新たな価値基準に

ESG時代の建築設計では、環境性能を「見せる」ことが競争力の源泉になります。CO₂排出量を正確に把握し、設計段階で改善策を講じることは、単なる環境対策にとどまらず、クライアントや投資家に対する信頼性の証となります。建築物が“環境データを語る”時代に向けて、設計者・事業者が協力して可視化を推進することが、持続可能な社会の実現への第一歩です。

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