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住宅の一次エネルギー消費量の計算において、
ルームエアコンは最も多く使われる冷暖房設備となります。
良く分からないまま、審査機関からエアコンのカタログ添付を求められる等、
どのような情報が必要なのか、分からない方もいるのではないでしょうか。
今回は、そんなルームエアコンで評価できる項目とその確認方法について解説します。
最も使われる冷暖房設備であるルームエアコンの評価をマスターして、
一次エネルギー消費量の計算をストレスなく実施しましょう!
エアコンで評価できる項目
エアコンで評価できる項目は、一次エネルギー消費効率の区分となります
一次エネルギー消費効率の区分は、
”エアコンの効率の良さ”をまとめた指標です。
この一次エネルギー消費効率の区分は、
冷房設備だけではなく、暖房設備の評価においても、
エアコンの性能を決定づける要素となります。
エネルギー消費効率の区分の出し方
エネルギー消費効率の区分は、2つの要素で決まります。
- エアコンの定格冷房能力
- 定格冷房エネルギー消費効率
これらの要素によりエネルギー消費効率の区分を出すことができます。
区分の出し方は、以下の表によります。
定格エネルギー消費効率による区分 | |||
定格冷房能力 | (い) | (ろ) | (は) |
2.2 kW 以下 | 5.13 以上 | 4.78 以上 | (い)もしくは(ろ)を満たさない場合 |
2.2 kW を超え 2.5 kW 以下 | 4.96 以上 | 4.62 以上 | |
2.5 kW を超え 2.8 kW 以下 | 4.80 以上 | 4.47 以上 | |
2.8 kW を超え 3.2 kW 以下 | 4.58 以上 | 4.27 以上 | |
3.2 kW を超え 3.6 kW 以下 | 4.35 以上 | 4.07 以上 | |
3.6 kW を超え 4.0 kW 以下 | 4.13 以上 | 3.87 以上 | |
4.0 kW を超え 4.5 kW 以下 | 3.86 以上 | 3.62 以上 | |
4.5 kW を超え 5.0 kW 以下 | 3.58 以上 | 3.36 以上 | |
5.0 kW を超え 5.6 kW 以下 | 3.25 以上 | 3.06 以上 | |
5.6 kW を超え 6.3 kW 以下 | 2.86 以上 | 2.71 以上 | |
6.3 kW を超える | 2.42 以上 | 2.31 以上 |
区分は、(い)>(ろ)>(は)の順に、性能が高いことになります。
定格冷房能力が高いほど、必要な定格エネルギー消費効率が小さくなります。
エネルギー消費効率の区分の確認方法
定格冷房能力に応じたエネルギー消費効率により、
(い)から(は)のエネルギー消費効率の区分を確認することができます。
それでは、エネルギー消費効率はどのように確認するのでしょうか。
確認方法は主に2つあります。
カタログ等により直接確認する方法
1つ目は、カタログ等からダイレクトにエネルギー消費効率の区分を確認する方法です。
例えば、このような資料により、使用するエアコンの品番から区分を確認することができます。
これらの資料はメーカーのホームページからダウンロードすることができます。
出典:パナソニック株式会社 省エネ基準・低炭素基準共通の商品のページ「2024年モデル JIS Q17050-1に基づく自己適合宣言書」
【 https://www2.panasonic.biz/jp/sumai/law/products/q_aircon.html 】
申請の際は使用するエアコンの品番を審査機関が確認できるよう、
赤枠等のマークを付けることが望ましいです。
審査機関によっては、
品番やエネルギー消費効率の区分を図面に記載することが求められます。
定格冷房消費電力により計算する方法
2つ目は、定格冷房能力と定格冷房消費電力の数値より、
エネルギー消費効率の区分を計算する方法です。
例えば、このような資料により、
使用するエアコンの定格冷房能力と定格冷房消費電力の値を確認します。
これらの資料はメーカーのホームページからダウンロードすることができます。
出典:ダイキン工業株式会社 建築物省エネ法対応製品検索
この場合、省エネ計算に必要なエネルギー消費効率の区分は以下のとおりです。
- 定格冷房能力 :2.8 kW
- 定格冷房消費電力 :0.730 kW
- エネルギー消費効率 :2.8 ÷ 0.730 ≒ 3.835
- エネルギー消費効率の区分:(は)
1つ目の確認方法と同様、審査機関によっては、
品番やエネルギー消費効率の区分を図面に記載することが求められます。
複数のエアコンが設置されている場合の評価方法
1つの部屋に複数のエアコンが設置されている場合の評価方法は以下のとおりです。
- 原則として、「主たる居室」「その他の居室」の2つの室の区分に応じて性能を評価する
- 1の室区分において、複数のエネルギー消費効率の区分を選択することはできない
- 複数のエアコンが設置されている場合、性能が悪い方のエネルギー消費効率の区分を入力する
1つの事例として、主たる居室(LDK)に2つのエアコンが設置されている場合を考えます。
- エアコン1:エネルギー消費効率の区分(い)
- エアコン2:エネルギー消費効率の区分(は)
この場合、エアコン2の方がエネルギー消費効率が悪い(性能が悪い)ことになるため、
エネルギー消費量の計算において、主たる居室のエアコンのエネルギー消費効率の区分は、
「(い)」ではなく「(は)」を選択することになります。
住宅のエネルギー消費量計算における室の区分については、次回の記事で解説します。
まとめ
今回は、住宅のルームエアコンで評価できる項目について解説しました。
- ルームエアコンの計算においては、エネルギー消費効率の区分を評価できる
- エネルギー消費効率の区分は、定格冷房能力とエネルギー消費効率で確認できる
- エネルギー消費効率は、定格冷房能力と定格冷房消費電力で計算することができる
- 区分をカタログ等で直接確認する方法と、定格冷房能力等から計算する方法の2つの確認方法がある
次回は、住宅のエネルギー消費量の計算において
重要な要素の1つとなる室の区分について解説します。
お楽しみに!