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はじめに
「東京ゼロエミ住宅」とは、高い断熱性能の断熱材や窓を用いたり、省エネ性能の高い照明やエアコンなどを取り入れたりした、人にも地球環境にもやさしい住宅のことです。東京都は、省エネルギー対策を推進し、高い省エネ性能等を持つ住宅を普及させるため、令和元年度から「東京ゼロエミ住宅」の基準に適合する住宅を新築した建築主に対し、その費用の一部を助成する事業を実施しています。今回はこの「東京ゼロエミ住宅」の概要や助成事業について詳しくご紹介します。
東京ゼロエミ住宅とは
2020年に政府は地球温暖化や、近年の異常気象の問題解決に向けて、2050年までに温室効果ガス実質ゼロを目指すことを宣言しました。
それに貢献するため、東京都は2050年までに「ゼロエミッション東京」の実現、そして、2030年までに「カーボンハーフ」(温室効果ガス排出量50%削減)を表明し、取組を加速させています。
実は都内の温室効果ガス排出量の約30%は家庭からの排出量が占めており、「ゼロエミッション東京」「カーボンハーフ」を実現するには、住宅の省エネ性能等の向上が欠かせません。
しかし、都内の住宅は狭小な土地利用が多く、太陽光発電システムなどの再エネ設備による環境性能向上への取組が進みにくいのが現状です。そこで考案されたのが「東京ゼロエミ住宅」です。
「建物の断熱性能」と「設備の省エネ性能の仕様」の定められた基準に適合した東京都の新築住宅は、
申請をすることで「東京ゼロエミ住宅」の認証を受けることができます。
都は「東京ゼロエミ住宅」を普及させることで、住宅の環境性能の底上げが進み、高性能な建材や設備の価格が低下、より「東京ゼロエミ住宅」が普及するという好循環を生み出すことを目指しています。
性能基準
「東京ゼロエミ住宅」は
2022年4月から従来の基準(=現水準1)に加え、より高い基準が追加されました。
ZEH相当の断熱性能と、国が定める基準より35%削減する「水準2」
北海道相当の断熱性能と、国が定める基準より40%削減する「水準3」
「必ず適合すべき仕様」に適合したうえで、水準ごとに設定された「性能値」に適合させることで
「東京ゼロエミ住宅」と認証されます。
≪必ず適合すべき仕様≫
部位 | 主な仕様 | |
開口部の断熱性能 | 窓 | 熱貫流率 2.33W/平方メートル・K以下 (例:アルミ樹脂複合サッシ + Low-E複層ガラス) |
ドア | 熱貫流率 3.49W/平方メートル・K以下 (例:金属製熱遮断構造の枠 + 金属製フラッシュ構造の戸) | |
設備の省エネルギー性能 | 照明設備 | 全室LED (玄関、トイレ、洗面・脱衣所、廊下、階段及び階段のうち1箇所以上は人感センサー付) |
暖・冷房設備 | 高効率エアコン設置(省エネラベル4★または5★) (リビングなど主たる居室に必ず設置) | |
給湯設備 | 高効率給湯器 (電気ヒートポンプ給湯器、潜熱回収型ガス給湯器など) | |
太陽光発電システム | 可能な限り設置が望ましい |
≪性能値≫
水準1 | 水準2 | 水準3 | |
外皮平均熱貫流率※1(単位 W/m2K) ()内は木造以外の構造の住宅における単位住戸 | 0.70(0.70) 以下 | 0.60(0.70) 以下 | 0.46(0.60) 以下 |
国が定める省エネルギー基準からの削減率(再エネ除く。) ()内は木造以外の構造の集合住宅等における単位住戸 | 30%(25%) 以上 | 35%(30%) 以上 | 40%(35%) 以上 |
※1 住宅の断熱性能(熱の伝わりやすさ)を表す数値で、この数値が小さいほど断熱性能が高くなります。東京23区・多摩市部等の区域の国が定める基準は0.87W/m2Kです。
助成事業
省エネ性能の高い住宅を普及させるため、「東京ゼロエミ住宅」を新築し、認証を受けると、助成金の交付を受けることができます。
助成金対象
・住宅
・太陽光発電システム
・蓄電池システム
助成金額
≪住宅≫
水準1 | 水準2 | 水準3 | |
戸建住宅 | 30万円/戸 | 50万円/戸 | 210万円/戸 |
集合住宅等 | 20万円/戸 | 40万円/戸 | 170万円/戸 |
≪太陽光発電システム≫
発電出力値 | 設置する住宅の種別 | 発電出力に乗じる額 | 上限額 |
3.6kW以下 | オール電化住宅※3 | 13万円/kW | 39万円 |
オール電化以外の住宅 | 12万円/kW | 36万円 | |
3.6kW超 50kW未満 (3.61~49.99kW) | オール電化住宅 | 11万円/kW | 550万円 |
オール電化以外の住宅 | 10万円/kW | 500万円 |
≪蓄電池システム≫
設置する太陽光 システム出力値 | 助成額 (①~③のいずれか小さい額) |
4kW以下 (蓄電池システムの単独設置を含む) | ①機器費の1/2の額※6 ②蓄電容量※7×10万円 ③80万円 |
4kW超 | ①機器費の1/2の額※6 ②太陽光出力×20万円 ③蓄電容量※7×10万円 |
認証・助成金申請方法
認証申請(申請先:認証審査機関) | 助成金申請(申請先:クール・ネット東京) |
「東京ゼロエミ住宅設計確認審査申請書」申請設計確認審査実施適用の場合、「設計確認書」の交付 | 「助成金交付申請書」申請審査「交付申請受理決定通知」交付 |
「建築確認済証」交付(※「交付申請受理決定通知」発行後に交付を受ける必要があります) | |
「交付申請追加書類」提出審査後、東京都による承認「交付決定通知書」交付 | |
着工・工事完了 | |
「東京ゼロエミ住宅工事完了検査申請書」申請審査・現地調査「東京ゼロエミ住宅認証書」交付 | |
「実績報告書兼交付請求書」提出審査「助成金確定通知書」交付助成金支払い |
申請期間
令和4年6月22日~令和5年3月31日まで(※助成金の「実績報告書」は令和8年9月30日まで)
他の主な補助金との併用可否
地域型住宅グリーン化事業 | 〇 |
グリーン住宅ポイント制度 | 〇 |
こどもみらい住宅支援事業 | 〇 |
戸建住宅ネット・ゼロ・エネルギーハウス(ZEH)化支援事業 | × |
次世代ZEH+実証事業 | × |
集合住宅のCO2化促進事業(ZEH-M) | × |
LCCM住宅整備推進事業 | × |
家庭のゼロエミッション行動推進事業(東京ゼロエミポイント) (エアコン、給湯器及びLED照明器具の買い換えに係るもの) | × |
まとめ
東京ゼロエミ住宅の助成事業は令和元年からスタートしましたが、令和3年は予算43億円だったのに対し、令和4年は132億円と大幅に金額が上がっています。
また、令和3年は補助金の交付は抽選で、当選しづらい傾向でしたが、令和4年は先着になったため、予算に達するまでに申請すれば確実にもらえるのが嬉しいポイントです。
前回ご紹介した「こどもエコすまい」と同様、断熱性能や省エネ性能が優れた住宅は地球環境だけでなく、住む人の健康面や費用面でもメリットがあります。
これから都内で住宅の新築を考えている方はぜひ「東京ゼロエミ住宅」の建築をご検討いただければと思います。