CASBEE建築(新築)の評価方法とは?

「CASBEE」(建築環境総合性能評価システム)は、

建築物の環境性能で建物を評価し格付けする手法のことです。


省エネルギーや環境負荷の少ない資機材の使用といった環境配慮だけでなく、

室内の快適性や景観への配慮なども含めた、

建物の品質を総合的に評価するシステムです。

CASBEEには、評価する対象のスケールに応じた「建築系(住宅建築、一般建築)」、

「都市・まちづくり系(まちづくり、都市)」の評価ツールがあります。


これらの評価ツールをまとめて「CASBEEファミリー」と呼んでいます。

CASBEE建築(新築)は「CASBEEファミリー」の建築系のひとつ

CASBEE建築(新築)は

4つの対象スケールのうちのひとつ「CASBEEファミリー」の建築系に属する評価基準です。

CASBEEでは下記の理念に基づき、

建築物の環境に対する様々な側面を客観的に評価します。

  1. 建築物のライフサイクルを通じた評価ができること
  2. 「建築物の環境品質(Q)」と「建築物の環境負荷(L)」の両側面から評価すること
  3. 「環境効率」の考え方を用いて新たに開発された評価指標「BEE(建築物の環境性能効率、Built Environment Efficiency)」で評価すること

CASBEE建築(新築)の評価対象建築物

出典: 一般財団法人 住宅・建築SDGs推進センター HPより

CASBEE-建築(新築) は、戸建住宅を除く全ての用途に適用可能となっています。


用途分類は省エネルギー基準で用いられる8用途(工場含む)、

及び集合住宅で、戸建て住宅は対象外となっています。

なお、工場についてはQ1室内環境とQ2「1.機能性」の評価では

主に居住エリア(事務所等)を評価の対象として、生産エリアは評価対象外とします。

LR1エネルギーの評価では、

エネルギー消費性能基準で計算対象外となる

工場の生産エリアにおけるエネルギー消費は評価対象外とします。

対象となる用途については、

「非住宅系用途」と「住宅系用途」の大きく二つに区分しており、

特に「住宅系用途」に区分される病院、ホテル、集合住宅は、

利用者の住居・宿泊空間(以下<住居・宿泊部分>)を含む建築物です。

これら、住宅系用途の建築物の評価は、

「住居・宿泊部分」とそれ以外の共用部分(以下<建物全体・共用部分>)とに分けて行います。

用途区分用途分類含まれる用途
非住宅系用途事務所事務所、庁舎、郵便局など
学校小学校、中学校、高等学校、大学、高等専門学校、専修学校、各種学校など
物販店百貨店、マーケットなど
飲食店飲食店、食堂、喫茶店など
集会所公会堂、集会場、図書館、博物館、ボーリング場、体育館、劇場、映画館、ぱちんこ屋、展示施設など
工場工場、車庫、倉庫、観覧場、卸売市場、電算室など
住宅系用途病院病院、老人ホーム、身体障害者福祉ホームなど
ホテルホテル、旅館など
集合住宅集合住宅(戸建ては対象外)

 

採点基準

CASBEEは、Q(Quality:建築物の環境品質)と

L(Load:建築物の環境負荷)をそれぞれ別個に採点します。


最終的にその結果を基に

BEE(Built Environment Efficiency:建築物の環境効率)を指標として

評価することを特徴としています。

その際、LはまずLR(Load Reduction:建築物の環境負荷低減性)として評価されます。

それは、「建築物の環境品質の向上が高評価となる」ことと同じように、

「環境負荷の低減が高評価となる」よりも

「環境負荷低減性の増大が高評価となる」方が、

一つの評価システムとして理解しやすいからです。

採点基準は、対象建築物の各用途に適切に対応できる基準となっており、

基準の統一化が図られ、シンプルなシステムとなっています。


各評価項目の採点基準は、以下の考え方に従って設定されています。

①レベル1~5の5段階評価とし、基準値の得点はレベル3とする。
②原則として、建築基準法等、最低限の必須要件を満たしている場合はレベル1、一般的な水準と判断される場合はレベル3と評価できるような採点基準とする。
③一般的な水準(レベル3)とは、評価時点の一般的な技術・社会水準に相当するレベルをいう。

CASBEE建築(新築)の評価システム概要

評価項目の採点

Q(Quality:建築物の環境品質)と

L(Load:建築物の環境負荷)のそれぞれに含まれる評価項目について、

各々設定された採点基準(レベル1~レベル5)に従って採点を行います。

レベル1は1点、レベル5は5点として、それぞれの項目の得点が決まります。


住宅系用途に分類される集合住宅、ホテル、病院では、<住居・宿泊部分>を、

それ以外の部分(<建物全体・共用部分>)とは分けて両者を評価します。

その際、評価項目によっては<住居・宿泊部分>と

<建物全体・共用部分>では異なる採点基準が適用されます。

建物一体としての評価結果を得る際には、

項目毎にスコアを各部分の床面積の比率に従って加重平均することで

建物全体としての結果を得ることができます。

評価結果

採点結果は、「スコアシート」と「結果表示シート」の書式に集約されます。

評価項目ごとの採点の結果はまず、「スコアシート」に一覧表示される。

これらを各評価項目の重み係数で加重して、

Q1~Q3、LR1~LR3までの分野別の総合得点SQ1~SQ3、

SLR1~SLR3、並びにQとLRの得点SQ、SLRを算出します。


「結果表示シート」では、

Q(建築物の環境品質)とLR(建築物の環境負荷低減性)のそれぞれについて、

分野ごとの評価結果がレーダーチャートと棒グラフと数値で表示されます。


さらにBEE(建築物の環境効率)の結果がグラフと数値で表示され、

これらによって、環境配慮に対する対象建物の特徴を

多角的かつ総合的に把握することができます。

下記がCASBEE建築(新築)の評価結果シートです。

出典: 一般財団法人 住宅・建築SDGs推進センター HPより

BEEは、QとLRの得点SQ、SLRに基づき、以下の式で求めるスコアです。

また、グラフ座標上で縦軸のQ値と横軸のL値で

プロットされる環境効率の位置により、

SランクからCランク5段階の建築物環境効率ランキングが表示されます。


なお、それぞれのランクは表Ⅰ.2.2に示す評価の表現に対応し、

分かり易いように赤星印の数で表現されます。

出典: 一般財団法人 住宅・建築SDGs推進センター HPより

BEEと赤星による建築物環境効率ランキングの表示

BEE値によりランクと評価が決定されます。
BEE値によるランクと評価の対応は下記の表のようになります。

出典: 一般財団法人 住宅・建築SDGs推進センター HPより

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