この記事をざっくり言うと…
・2025年に4月1日に大規模な法改正がある
・この法改正により省エネ基準への適合義務が全ての建築物に適用される
・省エネ適判は建築工事の着手前に完了させる必要がある
2025年4月1日、大規模な法改正が控えています。改正されるのは、建築基準法と建築物省エネ法になります。これらは、改正前後の手続きに大きな影響を及ぼします。内容を押さえて、2025年4月に混乱しないように備えましょう。
建築基準法の改正内容
建築基準法の改正内容は「確認の特定の縮小」になります。「確認の特例」とは、建築確認や完了検査において、審査や検査の対象外となる法規制があるというルールになります。例えば、居室の採光に有効な開口部の計算(建築基準法28条)や、構造耐力の安全性(建築基準法20条)などの法規制が、確認の特例の対象です。審査や検査の対象外であっても、法律への適合は必要となるため、設計者の責任によってこれらの規制の適合確認をすることになります。
2025年4月の法改正後、この「確認の特例」の対象となる建築物の規模が縮小します。この影響を最も受ける建築物が、木造2階建ての建築物となります。一般的な木造住宅の多くがこの建築物に該当します。確認申請において、審査対象となる法規制が大幅に増えることになります。これに伴い、申請の準備や審査に要する期間も大幅に増加することが予想されます。
建築物省エネ法の改正内容
建築物省エネ法の改正内容は「省エネ基準への適合義務の対象拡大」となります。今まで300㎡以上の非住宅建築物に限定されていた省エネ基準への適合義務が、全ての建築物に適用されます。先ほどご紹介した木造2階建ての建築物など、全体の大部分を占める「小規模建築物」に省エネ基準への適合義務が課せられます。「仕様基準」という定められた基準に適合している住宅を除き、省エネ計算を行う必要があります。
省エネ計算とは、一次エネルギー消費量という空調設備や給湯設備などの設備が1年間に消費するエネルギー量を計算することを言います。省エネ計算をした結果である計算書と設計図面を、所定の審査機関に提出して省エネ基準に適合することを通知書により証明してもらうまでの流れが、適合義務の全容となります。この手続きを「省エネ適判」といい、省エネ基準に適合することを示す書類を「省エネ基準適合判定通知書」といいます。
この手続きを踏まないと、確認申請が完了しないため、省エネ適判は建築工事の着手前に完了させる必要があります。
省エネ計算の省エネ法の改正内容
「確認の特例」の縮小については、今まで設計者の責任によって適合確認がなされてきました。そのため、これらの内容を設計図書に示して提出することで法改正に対応することができます。ところが、小規模建築物の省エネ適判については、新たに増加する手続きとなります。
審査機関の審査に対応し得る省エネ計算書と設計図面を作成するのは、骨の折れる仕事となります。そのため、これらの省エネ計算に関する業務は、専門の事業者に依頼をする設計事務所が多いです。エネカルでは多くの専門家に省エネ計算を依頼することができます。見積りだけの依頼をすることも可能です。面倒な省エネ計算は専門家に任せて本来の設計業務に集中しませんか。エネカルを利用してみなさんの仕事を効率的に進めてみませんか。