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日本における住宅政策の一環として「長期優良住宅」の認定制度が設けられています。長期優良住宅とは、耐久性や省エネルギー性能など、一定の基準を満たした住宅に対して与えられる認定です。この認定を取得すると税制優遇や住宅ローン減税の適用など、さまざまなメリットがあります。本記事では、長期優良住宅の概要、仕様確定のポイント、認定を受ける流れについて詳しく解説します。
長期優良住宅の概要
長期優良住宅とは?
長期優良住宅とは、長く安心して住み続けられるように、一定の基準を満たした住宅に与えられる認定制度です。この制度は2009年に「長期優良住宅普及促進法」に基づいて施行されました。
認定を受けるためには、以下のような基準を満たす必要があります。
- 耐久性(劣化対策)
- 耐震性
- 省エネルギー性(断熱性能)
- 維持管理・更新の容易性
- 可変性(間取り変更の容易さ)
- バリアフリー性
- 居住環境への配慮
- 住戸面積(一定以上の広さ)
- 維持保全計画の策定
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長期優良住宅のメリット
長期優良住宅に認定されることで、以下のようなメリットがあります。
住宅ローン減税の上限引き上げ | 通常の住宅よりもローン控除の適用限度額が増え、減税効果が高まります。 |
登録免許税の軽減 | 住宅の登記にかかる登録免許税の税率が軽減され、コストを抑えることができます。 |
固定資産税の減税期間の延長 | 認定を受けた住宅は、一定期間固定資産税が減額されるため、維持費を抑えられます。 |
フラット35の金利優遇 | 長期優良住宅は住宅金融支援機構のフラット35Sの適用できれば、さらに低金利で住宅ローンを組むことができます。 |
地震保険の割引 | 耐震性能の高い住宅として認定されることで、地震保険の保険料が割引される場合があります。 |
資産価値の向上 | 長期優良住宅は、一般住宅よりも高性能で耐久性があるため、中古市場でも高い評価を得られる可能性が高いです。 |
長期にわたる快適な居住環境 | 省エネルギー性やバリアフリー設計が施されているため、将来的に住み続けやすい住宅になります。 |
リフォームやメンテナンスが容易 | 維持保全計画が策定されるため、計画的なメンテナンスが可能で、修繕やリフォームがしやすい構造となっています。 |
長期優良住宅の仕様確定のポイント
耐久性(劣化対策)
長期優良住宅は、劣化対策等級3(最高等級)かつ構造の種類に応じた基準を満たす必要があります。主な対策として以下の点が挙げられます。
基礎・構造
鉄筋コンクリート基礎の採用や木材の防腐・防蟻処理屋根・外壁
耐候性の高い素材(ガルバリウム鋼板や高耐久タイルなど)の使用防水対策
長期間にわたる防水機能の維持を目的とした施工管理
省エネルギー性(断熱性能)
高い断熱性能を確保することが求められます。具体的な要件には以下が含まれます。
断熱材の選定
高性能グラスウールや硬質ウレタンフォームなどの採用窓・ドアの性能
Low-E複層ガラスや高断熱サッシの使用太陽光発電や蓄電池の導入
エネルギー消費量を抑える工夫
維持管理・更新の容易性
住宅の長寿命化を実現するため、設備の維持管理がしやすい構造が求められます。
点検口の設置
床下や天井裏に点検口を設け、設備の交換や修理を容易にする配管の更新可能設計
給排水管をさや管ヘッダー方式で設置し、メンテナンス時に容易に交換できるようにする
可変性の確保
将来的な家族構成の変化に対応できる住宅設計が求められます。
・スケルトン・インフィル構造(SI構造)の採用
・間仕切りの変更が可能な設計
バリアフリー性
高齢者や身体の不自由な方が住みやすい住宅設計が求められます。
・玄関や廊下、浴室などの段差をなくす
・階段や浴室などに標準装備
・車椅子での移動を考慮した設計
維持保全計画の策定
住宅の長期的な性能を維持するために、維持保全計画を作成し、定期的なメンテナンスを行うことが義務付けられています。
点検周期の明示
屋根・外壁・配管の点検スケジュールを明記補修計画の策定
必要な修繕や交換のタイミングを事前に計画長期修繕計画書の作成
住宅全体の長期的な維持管理計画の策定
最短本日中までにそろう
認定取得の流れ
認定申請の準備
長期優良住宅の認定を受けるためには、まず設計段階で基準を満たすことを確認し、必要な書類を準備します。主な書類には以下が含まれます。
・設計図書(平面図、立面図、構造計算書など)
・維持保全計画書
・住宅性能評価書(必要に応じて)
認定申請の提出
市区町村の所管行政庁並びに民間の審査機関に対して認定申請を行います。この際、提出する書類が不備なく揃っていることを確認し、申請を行います。
審査と認定取得
審査機関が提出書類を審査し、基準を満たしていることが確認されると認定証が発行されます。このプロセスには通常1〜2ヶ月ほどかかるため、早めの準備が重要です。
建築確認申請
認定を受けた後、建築確認申請を行います。建築確認申請では、建築基準法に適合しているかどうかが審査されます。
施工と検査
認定後に工事を進め、途中で中間検査を受けることがあります。工事完了後は完了検査を受け、適合していることを確認します。
認定住宅としての登録
完了検査に合格すると、正式に長期優良住宅として登録され、税制優遇などの特典を受けることが可能となります。
維持管理と定期点検
認定を受けた住宅は、維持保全計画に基づき定期的な点検とメンテナンスを行う必要があります。これにより、住宅の性能を長期間にわたって維持することができます。
まとめ
長期優良住宅の認定を受けることで、耐久性や省エネ性能の高い住宅を確保できるだけでなく、税制優遇や住宅ローンの優遇措置を受けることができます。仕様確定の際には、耐久性やメンテナンスのしやすさ、省エネ性能などに注意し、認定申請の流れを把握してスムーズに手続きを進めましょう。長期優良住宅の取得は、将来的な資産価値の維持にもつながるため、これから住宅を建てる方にとって大きなメリットとなるでしょう。
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